ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ84→→→パラグラフ120:ソマーランドの最凶死刑囚たち:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



こればかりは予想外だった。
せいぜい戦闘力35点程度をイメージしていたのだ。
まさか……
ここまで彼我の戦力差が決定付けられるラストバトルだと、誰が予想しえただろう?


ソマーランドの流刑囚たち  戦闘力点38  体力点45


狼の戦力点は27点。念撃の+2を含めて29点。
この時点で戦闘比−9点というのは、一体どんなブラックジョークだというのか。
ただちにナップザックをこじあけ、ハッパを漁る。
但し、一服では気休めにもならない。
禁断の秘儀、カイの祖が沈黙のうちに禁じた『ハッパの重ねがけ』が最低条件だ。
アレサーの薬 アレサーの実 、最後の希望を放り投げ、旋転して宙で飲み下す。
戦闘力+4の圧倒的な力が神経を異常に賦活化させ、みるまに全身を戦闘機械へと変容させていく。


だが、この時点でまだ戦闘比は−5点。
カオスマスター戦での前提にやっと届いたばかりなのだッ!


念波動を使うべきか。体力−2の危険を冒して戦闘力をさらに2点、底上げするべきか。
結論はシンプルに出た。
……ここでは、使うべきではない。
これが2連戦であるということ。体力回復薬は、今やレンダリムの薬一本きりだということ。
体力が激減してしまっては、次の最終戦を勝ち抜けない。
もう一つ。無自覚に使ってきた念波動も、詳細に戦闘結果表をチェックすれば効率の悪さが見えてくる。
念波動を使用したターン、戦闘比が+4あがれば、2ランク上で効果判定が可能だ。
だが念撃が使える場合、毎ターン2点のロスと引き換えに、戦闘結果は大してよくならない。
右記のリンク先→ 【戦闘結果表】 を見れば一目瞭然。
たとえば戦闘比−5と戦闘比−3を比較しよう。
戦闘比は1ランクあがってても、ダメージと被ダメージの累計で2点分の効果がある乱数は「2」「4」「6」「8」のみ。
他の出目では+1点の効果しかない。
圧倒的破壊力と引き換えに、術者の心身を斬り刻む諸刃の絶技。それが念波動の正体だ。


……よって、ここは戦闘比−5で戦いに挑むッ!


実を言えば一つだけ勝算がある。揺るがない、勝利への方程式が。
だが、窮地になるまで出すつもりはない。
あくまで奥の手だ。
方針も覚悟も固まった。あとは攻撃あるのみ!
斧を片手に最短距離を跳躍する。3連撃、その場で喰らわせた。
出目や如何?



まずは最悪の毒殺魔ルビアス・コートに横殴りの一撃を叩き込み、防御魔術の程度を確認する(乱数8)。
奴の毒刃の一撃を喰らえば、この混戦の中、その時点で死を免れない。最も警戒すべき敵であるがゆえに、最初に始末するッ!
ボルゴンとファルコの連携をかいくぐり、フェイントと見せて再度ルビアス・コートを強襲、倍速を乗せたギロチンの一撃で首を刎ね落とす(乱数7)。
直後、背中をレイピアの一撃が強襲した。アイータの幻惑に乱されたのだ(乱数2)―― ッ!


復讐の殺意が結果を生みだす。
死刑囚の体力点は31点。対するローン・ウルフは少なからず傷つき29点。
流石は最強最悪の魔法戦士団と言ったところか。
あふれだす狼の血が、凶暴な野生をかきたてる。
理性のたがを外すのだ。すべての地形を凶器となせ! 殺せ! 殺すのだ!



渦巻く極彩色の光が、背後の地面を焦がす。
即座にテーブルクロスを翻して視界を塞ぎ、呪文を放った妖術師ガードラ・ヴェズの右手首を斬り落とす(乱数7)。
鮮血と絶叫のなか、首狩りの追い剥ぎファルコと死刑囚ボルゴンの連携をあえて誘った。
紙一重のステップで、二条の死の閃光をかわす――そこには、片手に不浄のオーラをまとって踏み込んできた魔女アイータ・ネマータの身体が。
防御呪文を突き破る同士討ちに恐怖の叫びがあがった直後、魔女の五体が鮮血と共に破散(乱数0)、
そこに目を奪われたボルゴンの胸板を体重を乗せた斧撃で叩き割る(乱数8)!


ここで種明かしをしよう。
いかな俺が常人の枠から外れた戦闘者とは言え、光速を避けられる訳じゃあない。
死刑囚どもの攻撃の一定の間合いから有効射程を見切り、攻撃の予想到達地点から移動しているだけの事。
練り上げられた致命の呪撃であろうと、足跡に撃ち込まれている限りは脅威でも何でもない。
更に言うなら、呼吸と眼球の動きを読むまでもなく、指や短剣などの発射体の角度を見れば一目瞭然なのだが。
念の為、一つだけ仕込みをしておいた。
序盤で俺の動き―― 同程度の速度による繰り返しの単調な攻撃―― にわざと順応させた。
そして、縦横無尽の足捌きによるランダムな超加速と緊急停止により、今や俺の姿は死刑囚どもに「見えてはいても、視認できていない」のだ。

かつてないハイクラスの強敵―― 俺のことだ―― 相手に死刑囚の連携が乱れているのが見てとれる。
この時点で3人を殺し、死刑囚らの残り体力は9点。
一方の狼は体力点24点。
いける。
このまま集中力を切らさず、一気に押し通れ!!



追い剥ぎファルコに肉薄し、無理攻めで敵の剣を根元から断ち割る。
反射的に繰り出された接触型の呪文に肩を抉られつつも、もう片手の一撃で額から上の頭蓋骨を粉砕する(乱数6)。
だが、振り返った狼を、ファルコの死体もろとも紅蓮の炎が直撃する。
妖術師ガードラ・ヴェズの最後の意地の一撃。双方共に、この一撃が高くついた―― (乱数5)、


カイ・マントの炎が消える間もなく、既に首を刎ねられていたガードラ・ヴェズが崩れ落ちる。
6・7回戦、集中力を切らしたことで8点の被ダメージ……
だが、勝利はこの手にあった。
おそるべき戦闘力点38の死刑囚を相手取り、狼の残り体力は16点。上々の中の上々だ。
万が一勝てそうにない場合は、ズル技を使うつもりでいた。
だがそれも問題ないようだ。
事前の予言により「2連戦」の予告があるということはイコール、この戦いはラストバトルではないということ。
この戦い限定で、一部のゲームブック業は解禁できた……それが強気に攻め得た理由。
狼の勝機だ。


ボナター戦をひかえ、すばやく最後のレンダリムの薬を飲み干す。
脅威的な回復。体力点+6の劇的爽快感。
22点まで体力を回復し、勢いのまま、パラグラフ120へとなだれ込む―― ッッ!



通過パラグラフ:(84 戦闘)→120  治癒術の効果:0点   現在の体力点:22点

(つづく)