ゲームブック・リプレイ：ローンウルフシリーズ
【パラグラフ270→→→パラグラフ106：アイ・オブ・ザ・ウルフ：（死亡・15）】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。
武器による恩恵の一切を受けられない……だ、と！？
驚愕がカイ・マスターをゆさぶる。
ならば圧倒的な戦力低下のなかでのハンデ戦となるのか？
早とちりしかけるが、それもまた違った。
この至高のステージにたどり着いた高位の戦士のみがなしうる、別次元の戦いだったのだ。
影の掠奪者たち 戦闘力点25 体力点40
これは精神の戦いなので、通常と同じ戦闘の手順を踏むが、ここでは
武 器 に よ る 一 切 の ボ ー ナ ス を 戦 闘 力 点 に 加 え ら れ な い
そのかわり、最初の３つの教えに加えてさらに教えを身につけていれば、
そ の 数 だ け 戦 闘 力 点 を 増 や し て よ い 。
また、精神の指輪 あるいは 灰水晶の指輪 をもっていれば、それぞれに
つき、さらに３点づつ戦闘力点を増やしてよい。
「なるほど」
つまり、純粋なる精神力のみでの戦いというわけだ。
すばやく彼我の戦力比を再確認する。
狼の素の戦闘力は15点。特別な品物である盾 と銀の兜 の効果で＋４点。伝授のサークル２種で＋４点。
上級武術による＋４点は無効化。
かわりに、サイアン・カイ（８つの教え）のボーナスで、＋５点。
さらに……
「そうか。ここで、ついに役立つのかァァ！！ なあ！ 俺の、灰色の水晶の指輪 よォォォ！！」
ちょっとテンションあがって叫ぶ。
こいつは意外だった。
８巻『戦慄のジャングル』中、要塞都市ザーロにて大枚はたいて入手した灰色の水晶の指輪 （リプレイ 【リプレイ422】 参照）。
あ、いや、俺は天然磁石 と交換したんで金貨１枚も払っちゃいないけども。
あの謎の品が放つ純粋な魔力は「精神戦闘の補助能力」だったのだ！
２つの指輪の効果により、戦闘力＋６点。
するてェとだねぇ……
合計して、狼の精神戦闘力点は34点、戦闘比は、なんとォ……おどろきの戦闘比＋９点！？
あれ？
あれあれ、あれれれェ？
おかしいなァ。なんか雑魚がいるよ。雑魚がまとわりついてくるよ？
マグナマンド最弱のジャークみたいな相手だよ？ 影の略奪者って、名前だけご立派じゃね？
と、そこへ翻訳者ＢＯＢ先制の介入が。
「ちょっと待てや。なんで盾の戦闘力＋２が入ってんの。精神戦闘だろうが」
「へァ？」
「PROJECT AON版では、盾も除外しろって書いてあるんだっつーの！」
意味不明なツッコミに首をかしげ、原書のパラグラフ270を見せつける。
「レッドフォックス版もベーカリー版も、原書の本文にそんな表記ないね。こっち優先だよ」
「…………ギャーッ！オギャギャーッ！」
発刊されている原書にまず準拠するのが正しい。
奇声を上げる先生を他所に、戦闘開始。
そして２秒で片付いた。乱数は「６」と「９」。
２撃目で敵へのダメージが「Ｋ」、つまり即死だ。かすり傷の被ダメージ１点で済ます。
およそ戦闘の描写さえ不要。
ギロリンゲとばかりに睨んだら、こっちの目力（めぢから）で敵は裂けちゃいました（笑）。みたいな。
本文では凶悪な影がどうとか書いてあるが、まったく無意味な戦闘だった。
……うん。
持ってて良かった灰色の水晶の指輪 。
敵を退けたことで、道が開けたらしい。
騒々しい風が断末魔にも似た悲鳴を奏で、鳴りひびく鐘めいた陰気な調べが周囲に鳴り響く。
雲の中央部より金色の光が一筋、鐘の音に合わせて心臓の鼓動のように正しく刻み、脈打っていく。
抗おうという意識すら消し去り、自ら光に引き寄せられていくのだ。
重苦しく絡み合う雲が左右に退いてゆき、煌めく白亜の塔が見えてきた。
円錐の尖塔上には金色に輝く光の球が架けられ、新生した小さな太陽のように、熱と力を放射している。
慰撫する暖かみに導かれ、塔の側面にある入口へ近づいていく。
ゲートの奥には、靄がかった黄色い光点と、下りゆく暗いトンネルが口をあけている。
精神のサークルを修めていれば、312へ。
精神のサークルを修めていなければ、106へ。
ここは一体何なのか。別次元の、神の領域か何かだろうか。
精神力、感能力が優劣を決める世界なのは間違いない。
精神のサークルが急速に回転を始め、放射される塔の太陽から、生の精神エネルギーを活力として抽出してのけたのだ。
乱数表を振る……結果は「０」。最良の結果だ
０は10としてカウントするため、ここで10点の体力点を（今度はドーピングではなく）取り戻す。
ついに牽引の力によって、俺は塔のトンネルに引き込まれ、下へ下へ滑落しはじめた。
内なる世界、胎臓界巡りはまだ続く。
通過パラグラフ：(270)→149→160→312→106 治癒術の効果：４点 現在の体力点：34点 |
