ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ193→→→パラグラフ270:影の乗り手:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



驚愕の射損じだった。まさかの乱数「0」。
デュアドンの弓+3、弓の上級武術+3、教えの向上で+2、すべて加えても+8。
さらにこの瞬間、忘れていた因果が発動する。


――秘 奥 義 ・ サ イ コ ロ 交 換 : 発 動 ――


「いや、どういうこと?」
意味がわからない。というか、この発動に作為性も物語性も一切ないことに驚く。
大抵いつもはもっとヤバい局面で狙いすましたように発動し、狼を窮地に陥れてくれるというのに。
ここでは「0」と「1」が交換されて、結果、乱数の合計値は「9」。
完璧な一射を放ったこととなる――


チェンガーの甲高い金切り声が平野を揺るがした。
右目に矢を生やしたまま空へと急上昇、インメルマンターンをしくじって、引火性のブレスを吐きながら弧を描いて落ちていく。
大音響が砂塵をまきあげ、空を暗くした。
失墜と同時に轟音を上げて炎上・爆散。
もはや適当なリアクションもとれず、ポカーンと立ち尽くすのみだ。
どんだけ引火性のガス溜めてんだよ。障害物に当たったら即死かっつーの。
いやはや。
グアコール平原は驚異に満ちている。
休息の回数をさらに減らし、ひたすら歩く足に力をこめた。
見渡すかぎり生命の絶えた光景を、何キロも何キロも、機械的にとぼとぼ歩いていく。


疲労が感覚を鈍らせていた。
―― だから。
いつ、『無の領域』に踏み込んだか、記憶が定かではない。


気づいたとき、俺の足元には砂も大地もなく、不定形の雲が体重を支えていた。
『無の領域』。『奈落の地』。『ネヴァーネス』。
女帝セロッカの話にも出てきた、混沌によってすべてを奪われた虚無のテリトリー。
なにもかもが、夢のようにぼやけ、朦朧とただよっている。
地平線も境界も消えていた。
永劫に終わりなく広がる灰色の光をたたえた海と空が、いま狼の存在する次元そのものだ。
くぐもった声らしきモノが四方から木霊するが、聞き取ろうとすると薄れゆき、一言も捉えられない。
時間の経過にも意味がない。そういう場所だった。
だから。
いつ、その現象が始まったかも、正確には順序だてて話せない。
渦巻く雲と共に、闇の球体が3つ、現れた。
滑るように接近してくるそれは、誘うように遠のいたり近づいたりしつつ、見る間に実体を備えていく。


……悪魔の馬を駆る、黒いフードをかぶった騎手へと。


騎手たちはコートの影から横目でこちらを凝視してくる。
ちらりと覗く骨の眼窩のなかで、俺の瞳の色が反射している。ああ、なるほど―― これは、精神攻撃だッッ!!



  念バリアを身につけていれば、190へ。
  念バリアを身につけていなければ、81へ。


ほとんど自動的な防御反応が、悪魔の影が生みだす爆発的な精神エネルギーを受けとめる。
次の瞬間、衝撃が思念を締め上げていた。
殺到するエネルギーはおそるべき力を秘めている。からみつき、防壁を破ろうとしてくるのだ。
通常の念バリア程度では抑えきれないッ!



  サイアン・カイの階級に達していれば、79へ。
  サイアン・カイの階級に達していなければ、336へ。


念バリア+サイアン・カイがもたらす教えの向上。
それは、敵から向けられた精神攻撃の完璧なコントロールと吸収だ。
もっとも畏怖すべき精神へのダイレクトアタックを完全に防御し、さらには自由に誘導する。
ケースに応じてカイ・マスターの力に取り込み、あるいは跳ね返して敵を直接攻撃させることもできる。
これで撃退できれば良いのだが……?


 はるかに高められた教えの力を用いて……(中略)……敵対的な精神力を鷲づかみ、
その一部を支配下に置く。影の生物たちは君の精神支配を感知して……(中略)……
周囲を駆け足で回りはじめ、騎乗する馬のひづめで雲をかき混ぜ、うずまく嵐を作り
上げていく。

  念波動を身につけていれば、270へ。
  念波動を身につけていなければ、41へ。


ヤバイ。
明らかに戦闘のボルテージがあがってきた雰囲気がある。
この選択肢で真っ先に思い出すのは、10巻『トーガールの牢獄』におけるゴースト島の夜だ。
あの時も念波動のチェックのあと、殺到するセナードルイドの亡霊と戦いになったはず。
もうこれ以上、薬を飲まずに進むわけにはいかない。
いま、ここで、貴重なるレンダリムの薬 (体力点+6)を一瓶飲み下すッッ!
「おっ、おっおおっ、おきゃああぁぁぁぁあああ!!」
全身を流れる野放図なまでの力。
極上の香り湯の如く疲労と磨耗を和らげ、完全なコンディションであるかのように肉体を騙してくれる。
その至高の癒しが足指の末端まで流れ込んでいくッ!!
これにより、体力点は25点。
無の領域に巣食う悪魔か、あるいは真の敵がさしむけた刺客か。
そんなことはどうでもいい。
ただ、立ちはだかる敵はすべて誅殺するのみだ。
ついに蹄音も高らかに突進してくる3つの影と、虚無のただなかで交戦する。



  影の掠奪者たち  戦闘力点25  体力点40


「!?」
首をかしげる。戦闘力点25。たしかに11巻スタート組からはきつい敵だが、この俺にとってはまるで雑魚に思える。
……だが。
奴らの真価は、真に恐怖すべき特質は、そこにはなかった。



  影の掠奪者たち  戦闘力点25  体力点40


これは精神の戦いなので、通常と同じ戦闘の手順を踏むが、ここでは
武 器 に よ る 一 切 の ボ ー ナ ス を 戦 闘 力 点 に 加 え ら れ な い


―― なん……だ、と……ッ!?



通過パラグラフ:(193)→241→265→190→79→270(戦闘)  治癒術の効果:4点   現在の体力点:25点
(つづく)