ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ144→→→パラグラフ193:灼ける吐息のチェンガー:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



「じゃあ行こうか司令官。この埋葬地は冷える。身体を休め、探索に備えたい」
さりげなく歩きだす。が、その道行きは叶わなかった。
なぜだろう。
なぜだか、ローコンがガッチリ俺の肩をつかんでいる。
「ン?どしたい司令官」
「いや」
「なんだはっきり言ってくれ。気がかりでもあるのか」
「ああ。其方の背中のブツに、ね」
ギクーン!
「な、なんのことかなぁ。ともかく行こうぜ」
「私とて、疫病じみた混沌の影を振り払った恩人を『墓泥棒が!』などとなじりたくはないのだよ。だが、ね?」


「邪悪を追放した剣が、私の先祖が鍛えし剣だったことは、わが一族
にとっての吉兆でしょう。その剣が役立ったことを二重の意味で誇り
に思います。しかし、その剣は一族の戒律にのっとって大霊廟に返さねば
ならないでしょう」
 ……(中略)……いくらかは不承不承に、アイロンハートの幅広剣 を
しかるべき管理者に返す


「あーあ。俺のプレミアムソードが」
「舐めんなゴラ!あーあとか言ってんじゃねー!私の一族の剣だ!」
喚きまくったローコンの喧しさに押され、不承不承(そして本文でも不承不承)幅広剣を返す。
あれがこの先も使えたらきっと凄いんだろうけどな。
ともかく幕営地に戻る。
お祭り騒ぎの中、「ローン・ウルフをもてなす祝勝会」の準備が進むが、カイの感覚が不穏な気配を察知した。
急がないと手遅れになる……第六感がそう告げる。
即座にハアガダールへ向かい、マグナカイ探索を優先させるとローコンに告げた。
「ふむ。任務の緊急性は私も知るところ。最大限尊重しよう。ところで、ガイドをつけた方がいいか?」
「ガイドとな?」
「ナーゴスからグアコール平原を抜けていく道のりはラクではない。途中までだが優秀な者をつけよう」
ここで選択肢。
考えるまでもなく、ガイドに同行してもらうことにする。
先の斥候兵オデルの優秀さから考えても、足を引っぱるアンポンタンが登場することはないだろう。
選抜された斥候兵アークを連れ、朝もやの立ち込める営舎の外で別れのあいさつを交わす。
「息災を祈る、ローン・ウルフ。卿の勇敢さが未来を拓くだろう」
「無事でな、ローコン。メレドールに栄光あらんことを」
ナーゴスの森からグアコール平原までは、体感にしておよそ100時間近い旅路だ。
アークは鋼のような白髪と細くやせこけた風貌を持つ森林地帯のエキスパートだった。
一体の地理を知悉しており、略奪をおこなう混沌の残党をことごとく回避しながら進んでいく。
また、彼は食料の調達にも長けていた。
豊潤なナーゴスの森を抜け、グアコール平原のへりで別れを告げる際、食料3食分 をもらう。
あらためて地図をたしかめた。



このさき、グアコール平原は混沌によって枯渇した不毛の砂漠が広がっている。


 装備をたしかめ、不安を感じながら荒れたグアコール平原に入っていく前に、
地図の情報をたしかめる。
 ここで乱数表を指せ。

  0から6なら、202へ。
  7以上なら、、318へ。


ここで乱数表のチェック。結果は「2」。鬼が出るか蛇が出るか。
グアコール平原は、見渡すかぎり翳る地平線まで伸びゆく、灰褐色の広大な塵の海だった。
尖った針金のような灌木の茂みや巨岩が時折変化をつける以外は、わびしく忘れがたい光景がつづく。
かつては豊かで肥沃だった大地だと分かった。
混沌がすべてを根絶やしにしたのだ。
孤独な砂漠を歩くにつれて不安が深まっていく。
ふくらんでいく絶望と戦いながら、マグナカイの探索を成し遂げる誓いをよりどころに前進する。
ダジャーンへの失墜から何日が経過しただろうか。
遅くなればなるほど、マグナマンドへの帰還も、ナーグへの復讐も遠のく。
グアコールの運命はソマーランドにも下りうるのだ。
2度目の休息に入ったときだった。


 右の空から音が聞こえてくる。ようやく輪郭を認めるられるころには、灰色
の空に浮かぶしみは着実に大きくなっていた。
 生物に竜のような特徴を認めたとき、背筋を冷たい震えが駆け下りて
いく。
 これはグアコールの災厄、チェンガーだ。


  獣から姿を隠そうと思うなら、157へ。
  その場に立ち、獣がやってくるのを待ち受けるなら、281へ。


チェンガー……
聞き覚えがある、チェンガー……
そう、たしか『灼ける息のチェンガー』……だッ!
女帝セロッカの話を思いだすと同時にプレイヤーの俺自身にも震えが伝わってきた。
肥沃なるグアコール平原を灰燼に帰したのが、混沌の生み出した火竜の群れ、この『灼ける息のチェンガー』なのだ。
単騎で襲いくる怪物を前に対応を迫られる。
逃げるか、立ち向かうか。
問題は体力だ。今の時点で13点しかない。とても戦えるレベルではないだろう。
かといって、本文を熟読する限り、この荒野には隠れる場所がない。
どこかに身を隠したとして、隠蔽術ありきの運まかせ勝負になったら必ず負ける。
ならば、迎撃だ。
腹をくくり、パラグラフ281へ進む。
大きくバンクして近づくチェンガーは死をもたらす優美さにあふれていた。
巨大な灰緑色の翼が波うち、一条の煙が牙を閉ざした口からたなびき、エメラルドの瞳は邪悪にきらめく宝石だ。
獲物の脅威をたしかめているのだろう、一度旋回する。
そして、選択肢。



  弓を持っていて使いたければ、193へ。
  武器をかまえ、戦いにそなえるなら、62へ。


正直ほっとする。この選択肢を待っていたといっても過言ではない。
翼獣が相手なのだから、当然射落とす選択はあってしかるべきだ。そして狼は射撃のエキスパート。


 おそるべき生き物は、体の大部分を硬質の板状の鱗で保護されている。
 矢に弱いのはただ一点――輝く緑の目だ。
 乱数表を指せ。
 射撃に関するボーナスを持っていれば、すべて加えよ。

  0〜4なら、95へ。
  5〜8なら、19へ。
  9以上なら、241へ。

またしても敵の眼球、小さな的を狙わなければ勝てないハイパー難易度だ。
しかしこれも教えの向上を前提としたものであり、今の狼は射撃に関するすべてのボーナスを所持している。
思いきり乱数を突き刺す、その目は……



「0」。
クリティカルの「0」が、この俺を瞠目させていた。


通過パラグラフ:(144)→173→5→202→281→193  治癒術の効果:5点   現在の体力点:15点
(つづく)