ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

塵は塵に

【パラグラフ204→→→パラグラフ144:嵐:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。


ゴキュウリ………………


モッキュンモッキュン………………


毎度おなじみの、異様なるドーピング効果がすぐに顕在化する。
猫科動物の如くにまなじりが見開かれ、充血した瞳孔が激しく痙攣する。
これこそパンプアップの副作用。
確かな体力回復の証。



これまで何度もそうしてきたように、怒髪天を突き、王気(オーラ)をまとって立ち上がる。
体力+4+4+3=11点もの回復を果たし……
これにより、9ターン目突入時の狼は、体力点17点となる!!


「貴様、何ヲシタ。ナゼ余ノ一撃ヲ食らッテソコマでノ回復ヲ果タセるノだ」
「平行世界の分岐を司る英雄……らしいぜ、今の俺は」
「其ガ何ダト言ウのダ」
「貴様との戦いなぞ、ただの通過点に過ぎないということさ、混沌の神よ」
カオスマスターの不定形の貌を見上げて嗤いかける。このカタルシスこそ狼の本分。
暴虐なる神を、さらなる暴虐を持って……ねじ伏せるのだ!!
肉体に過剰なエネルギーを供給し、意思力によって四肢を超高速で操るマグナカイ最大の奥義。
今や俺の肉体から咆哮とともに漏れ出たエネルギーが大気を揺るがし、轟々と音を立てて砂塵を巻き上げていく。
それは、引くも進むも出来ない不可視の巨大な檻。
それは、いかな不死身の再生力を備えていようと、その神力が尽き消滅するまでひたすらに粉砕する地獄のミキサーだ。
俺の殺意が、風を呼び、嵐を呼ぶッ!
これが最後の……
全身全霊、空前絶後の念波動だッッ!



9回戦突入時

 ローン・ウルフ 
体力点40→17点

戦闘比−1
(念波動使用)

 カオス・マスター 
体力点58→7点




再び跳躍、無数の触手がかするのも構わず肉薄する(乱数5)。
狙いはただ一点、混沌のエネルギーをたくわえたその中枢(乱数7)。神殺しの刃を解き放つ――ッッ!!


カイ戦士の狩猟本能が、見せかけの心臓ではなく、カオス・マスターという超越存在を構成するエネルギーの中枢に刃を導く。
大きな脈動とともに、根元まで埋まったアイアンハートの幅広剣 の柄から腕がもぎとられる。
だが、今度こそ。


念波動の反動4点+被ダメージ5点で、ローン・ウルフの体力点は8点。
対するカオス・マスターへの斬撃は、2ターンで14点。完全なるオーバーキルだッッ!!
「ブルワァァァアアァァァ!!!!」


 君の刃がカオス・マスターの中枢を両断すると、死者を起こすほどおぞましい絶叫を放つ……(中略)……その皮膚はのたうちながら揺らめきはじめ、……(中略)……姿が薄れていき、ついには、むせかえるような血臭だけを執拗に残して、存在のすべてが消滅してしまう。

  144へ。


うねり蠢く不定形な表面が徐々にかすみ、もがきのたうちながら薄れていく。
「おのれ、おのれ、オノレェェェェェ!!」
「貴様には似合いの地獄さえないだろう。疾く消滅するがいい。事象の地平から」
断末魔の呪詛がかすれ、うすらぎ、拡散して……
ついに静寂がたちこめた。
混沌のなごりでぬかるむ墓所の屋根にアイアンハートの幅広剣 を突き刺し、よりかかる。
じわじわと勝利の実感があふれだす。


勝った……
ついに、永遠の黄昏界最強にして、最凶の、最狂たる神すら虐殺してのけたのだ!


耳をつんざく絶叫が大地をゆるがした。
全滅を覚悟していたメレドール戦士がいっせいに勝利の雄たけびをあげたのだ。
トラコスの埋葬地に歓呼が満ちあふれていく。
霊廟の屋根から苦労して大地へ降り立つと、地面に脚をつくまでもなく胴上げされ運ばれた。
近づいてきたローコン・アイアンハートと、今度は固い戦友としての握手をかわす。
「我々の命はいまや其方のものだ、異世界の戦士よ」
「……」
「関知する必要もないこのダジャーンにおいて、其方は我ら戦士の誇りを守った。私には其方に尽くす義務がある」
青く煙る瞳にはまぎれもない賞賛の色がこもっていた。
アイアンハートの幅広剣 を背負い直し、ローコンに告げる。
「ああ。ならば是非。俺にとって、この先こそあんたの力が必要だ、ローコン司令官」
「承知した。任せるがいい」
ちらと俺の背中に目をやり、ローコンはうなずいた。



通過パラグラフ:(204)→302→144  治癒術の効果:2点   現在の体力点:10点
(つづく)