ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ306→→→パラグラフ90:ロアストーン奪取:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



自分が無傷であることを再度確かめてから、殺戮の興奮の余波を鎮めた。
斧を腰におさめ、屋根の縁から目を凝らす。
転がり落ちたロアストーン を探すが、重々しく不気味な霧が青白い絨毯となり、視野を阻む。


屋根から離れかけた刹那、荒々しい調子はずれの太鼓が響いてきた。
いや違う―― 軍隊の戦太鼓では、ない!?
これは、ひたすら単調に繰り返す、無数の獣の呻きなのだ。


雑音の方角を凝視し、瞬時に心を凍らせた。
大きく不恰好な輪郭が一列になり、はるか向こうから、埋葬地の壁に開いた裂け目へと進撃してくる。
何者かは即座にわかった―― カオス・マスターの下僕、アグターだ。
怒りと恐怖に駆り立てられて聖所を飛びだした。
感覚を頼りにロアストーン へ突き進むさなか、瓦礫の下でオデルを見つけだす。
エネルギーの矢で黒く焦げた穴を胸に穿たれ、オデルの遺体は、絶叫の形に口を開いていた。
跪き、もはや見えない目を閉じてやる。
オデルもまた、ローン・ウルフの呪われた運命に巻き込まれたのかもしれない。


本能に導かれ、まっすぐロアストーン へ走っていくが、地下聖堂の入口を通りすぎたところで襲撃される。


アグターの斥候隊2人との戦いに突入した。死ぬまで戦え。

  アグターの斥候兵たち  戦闘力点26  体力点21

 これらの生き物に念撃は通用しない(念波動は通用する)。上級狩猟術を身に
つけていなければ、敵の攻撃の速さのため、最初の2回戦に限り君の戦闘力点は
3点低くなる。


異形の肉体が生みだす、恐るべき速さをもって混沌の先遣隊が俺に襲いかかる。
並みの敵手なら彼らだけで殲滅するに十分なのだろう。
念撃が通じないため、先程より下がって戦闘比+1。血を吸ったばかりの斧を引き抜いて応戦する。



何も考えず、浅手を負いながらも一匹目の片脚をぶった斬って蹴り倒し、(乱数5)
二匹目の鉤爪をかいくぐって胸郭ごと心臓を叩き潰す(乱数6)。
死体にめり込ませた斧をそのままにを力任せに振りかぶり、片脚を失い逃げられない敵を、鉄鎚の一撃で粉砕(乱数表5)する……


―― 先刻のパーフェクトな戦闘の余波がまだ熱となってくすぶるのか。
敵の異形を、踊るような奇怪な動きを見もせずに、刃先で感じる殺気だけに導かれて跳躍する。
直線の最短距離を超超高速で駆け抜け、強引極まる無理攻めで敵を叩き潰す。
ひどく醜く、ひどく不愉快な、不定形の肉と骨が砕け崩れる音と断末魔を、右から左へ聞き流す。
体力点の消耗は5点。
だが、ここでは体力点のカウントさえ必要なかった。


ロアストーン の輝きが、淡青色の冷たいエネルギーを放ってゆらめく。
霧の中に手を突きだすと、ごく自然に、叡智の結晶たる水晶の球が転がり込んできた。
お馴染みのひりひりとした知覚が腕を這い登り、黄金の輝きのイメージが心を満たしていく。
体力点を最初に決めた点数まで取り戻す。
「……」
声もなく大きく息を吐きだす。
いまだ道のり半ば。
首を刈ってやった緋色の戦士は、カオス・マスターとは別の動きに思える。
まったく連携していないのは事実のようだ。
まずはタルコスに迫った危機をかいくぐり、さらに2つ目の探索に向かわねばならない。
一番安全なのは魔力で施錠される霊廟内だろう。
そこで、混沌をやりすごす。
きびすをかえし、大霊廟まで走っていくさなか、不意に足が引っかかり転倒する。
左足のブーツの一部が切れていたので調べると、転がっていたのは、緋色の戦士が落としたカトラスだった。



  この武器を持っていくなら、8へ。
  そのつもりがなければ、346へ。


(つづく)