ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ114→→→パラグラフ330:斥候と狼:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



混沌のさらなる待ち伏せは何としても避けたいところ。
ヴォザーダからメレドールへの道すがら、街道を避けて進む。
丘陵地帯を取り巻く本道を避けて、樹木の茂った斜面を隠れ蓑に進んでいく。
セロッカからもらった地図 と、基本的なカイの追跡術を駆使して進んでいく。
カイ戦士としての卓抜した方向感覚も、この黄昏界ではあてにできない。
羅針盤としての太陽や星が、ダジャーン界には存在しないのだ。
ひたすらに時間だけが過ぎていく。
どれほど歩いたのか。
やがて、急流が注ぎこむ、水晶のように澄みきった小さな池が林のまにまに見えてくる。
同時に生き物の気配を感じ、こちらの存在を殺して近づいた。
街道は池のほとりをめぐって反対側へ抜けていく。
その池のふちに、鎧に身を固めた人間タイプの戦士3人が立っていた。
毛足の長い馬のような動物にまたがり、それらが喉を潤すあいだ、森を入念に調べている。
何かを捜索している風だ。
敵か、味方か?
予知の力が、素早く答えを導きだす。
彼らはまごうことなきメレドール人の戦士であり、彼らの指導者ローコン・アイアンハートの勅命を帯びている。
命令の中身は「ローン・ウルフと接触し、彼らの本拠地まで護衛せよ」とのもの。
ほっと安堵する……



  彼らに居所を明かすつもりなら、189へ進め。
  木々にまぎれて接近するつもりなら、330へ進め。


それだけなら、二流どころと謗られても仕方ない。
一流のプレイヤーならば、この接触の瞬間こそが最も危険だと知っているはずだ。
セロッカの残した科白を思い出せば理由は明白。
メレドール人は、混沌による潜入工作に対して猜疑心をつのらせているのだ。
この局面、うかつに出て行けば、名乗る間もなく殺される可能性さえあるだろう。
まずは木立に潜んで接近し、状況の把握をしなければならない。
さいわい、悪辣な罠はなかった。
(隠蔽術がなければ、とか、乱数表による移動チェックとか、そういう罠だ)。
音を殺して下生えの中を動き、メレドールの戦士たちを回り込んで逆側の街道までたどりつく。
この距離なら、彼らの話し声も聞き取れた。
どうやら、まさに今、到着が遅れている俺と猿人の戦車隊に何があったのか推測しているようだ。
さりげなく装備に目を走らせ……
俺は、隠れたままのこの行動が正しかったことを悟った。
彼らの右前腕には、金属製の手甲と一体化した小型の石弓が装着されている。
瞬時に発射できるこれらの武装を発動させてはならない。
万が一のトラブル、サドンデスがありえるのだ。
彼らを刺激せずに住むにはどうしたらいいか。



  予知を身につけていて、テレパシーで彼らに語りかけるなら、52へ。
  姿は明かさず大声で名乗りをあげるなら、242へ。
  両手をあげて茂みから出て行きたければ、15へ。


なかなかしんどい展開だ。
激烈な戦闘にはならないにせよ、石弓の誤射で、狼が致命的に傷つく可能性は依然高いのだ。
どう対処するべきか……
おそらく、ここでも正解はただひとつ。
いずれが正解か……歴戦の読者諸氏なら、お察しいただけるだろうか?

(つづく)