ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ48→→→パラグラフ196:ヴォザーダの大草原にて:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



即座に双の眼球にマグナカイの教えの力を集中させ、視力を猛禽のそれにまで高めていく。
橋の中央、数枚の橋板がずたずたに引き裂かれたうえ無造作に撒き散らされ、大きく開いた穴を稚拙に隠していた。
隣に座るトゥク・トゥロンの猿耳をひっつかみ、大声で怒鳴る。
「橋の中央が破壊されているぞ、止まれ!!」
「……なんですと!」
戦車の轟音のなか怒鳴りあい、素早く停止命令を下す。
橋のたもとへ傾斜する坂へ向かって馬蹄を蹴立てていた二輪戦車は、どうにか止まることができた。
ふうと胸をなでおろす指揮官の隣で、明らかな破壊の痕を眺めやる。
『Q.いったい、誰が、なぜ、このような破壊をこころみたのか?』
その答えは数行後の本文に書かれていた。



 方向認知術を身につけていて、チュータリーの階級に達していれば、69へ。
 方向認知術を身につけていていないか、チュータリーに達していなければ、196へ。


『A.敵対する存在による、不可避のトラップ』―― すなわち、待ち伏せだ。
方向認知術+チュータリーの教え。
これほど分かりやすい選択肢もない。すなわち『待ち伏せの予見と回避』だ。
予見こそできるが、教えを身に着けていない狼は、待ち伏せがあると知りつつ進むほかない。
に手をかけ、覚悟を決めて、パラグラフ196へ進む。

 
 トゥク・トゥロンと御者は二輪戦車から飛び降り、橋の被害 
状況を調べようと走りだす。 
 残った2台の戦車は両側に停止して、オーコールたちは辛抱 
強く隊長の帰りを待つ。 

  トゥク・トゥロンとともに橋へ向かうなら、182へ。 
  戦車の近くにとどまり、彼らが帰ってくるのを待つか。319へ。 
 


「……おっと?」
思わず一人ごちる。驚くべきことに、この局面で選択肢があった。
マグナカイの探索では初めてかもしれない。
通常は、待ち伏せの項目があった時点で即座に襲撃を受け、不利な戦いを強いられる。
だが、ここでは回避の選択肢があるのだ。
ならば。
橋へ向かうべきか、この場にとどまるべきか。
ここは敵の奇襲を受ける局面だ。戦利品など期待せず、とにかく逃げの一手が正しい判断だろう。
とどまるべきか進むべきか。俺の判断に迷いはなかった。
数多の修羅場をくぐりぬけたカイ・マスターだからこそ―― 指挟みもせず、躊躇なく次のパラグラフへ飛ぶ。

(つづく)