ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ153→→→パラグラフ294:猿の要塞:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



丘に伏せ、低く密集したピラミッド状の住居と街区を観察する。
青々とした木々の生い茂る谷間にそって都市は作られていた。自然の景観に反して都市には色がない。
くすんだ灰色の住居が延々と軒を連ねている。
中央部、まるでバベルの塔のごとくに天を穿つ石造りの円塔がそびえていた。
戦争前夜といった趣の市街をながめ、立ち去りたいという本能的な衝動を押さえつける。
第六感が、セロッカの存在をつげている。この中へ踏み込むしかない。
しかし、



  この城門へと近づいていくなら、215へ進め。
  見張りのいない都市への入り口を探すなら、294へ進め


丘の小道は城門から丸見えで、矢の標的にしてくれといわんばかり。
さっきの邂逅を思いだすまでもない。疑心暗鬼な連中にかかわらず、密かに忍び込むことだ。
渓谷に沿って木々を伝い、都市の城壁にはりついて回りこんでいく。
だが、運命はそれほど寛大ではなかった。

 
 しかし、君の存在はすでに灰色の高い塔に配置された見張りによって 
すでに気づかれており、歩哨は丘のいただきに立っていた君を目撃して 
いた。歩哨は城門の警備兵に特別警戒に入るよう伝令を伝えてしまう。 
 


唐突な軍馬のいななきと、砂利を巻き上げる二輪戦車(チャリオット)の轟音が五感をかきみだす。
開け放たれた正門に向き直り、俺は背筋を寒くした。
喚き散らすオーコールの御者に操られ、飛び出してきた戦車は実に5台。
マグナマンドにも、チャリオットの概念はあったはず。
だが、この地ヴォザーダとの最大の違いは、戦車の攻撃手段にあった。
戦車にまたがるのは戦士ではない。馬を操る御者一人のみ。


いや……
馬では、ないッッ!?
猛禽のごとき蹄を踏み鳴らし、鰐さながらの顎で手綱を銜えた狂獣が、俺を噛み砕き踏みにじろうと突撃してくるッ!
もはや退路は完全に断ち切られていた。
血に飢えた鬨の声があがり、散開したチャリオットに完璧に包囲されてしまう。
どうするべきか。
セロッカの配下を相手にして……!?
どう、戦う!?



  弓を持っていて、使いたければ、46へ。
  武器を抜き、身を守ろうとするなら、278へ。
  降伏するか。94へ。


―― ここにきて、示された選択肢に慄然とした。
なんという慈悲深さ。
そして、なんという狡猾さか。
このなにげない選択は、おそらく即死の罠を秘めている。ここではズル業『指はさみノゾキ』も使えない。
覚悟を決め……
俺は、ベルトに下げた斧に手を伸ばした。



通過パラグラフ:(153)→186→294→  治癒術の効果:+2点   現在の体力点:31点

(つづく)