ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ194→→→パラグラフ153:虐殺猿舞:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



異形の猿人、オーコールたちとの最終ラウンド。
とどめの一撃を加えるクリティカルの出目、「0」が燦然と輝き。
忘れていた因果を呼び起こす。



――秘 奥 義 ・ サ イ コ ロ 交 換 : 発 動 ――



忘れていたのは、あまりにも下らない因縁。
ダジャーン失墜の初夜、洞窟内の巨獣コージンダに対して使った、乱数操作の不始末。
『今出た「2」と、次に出る「0」を交換する』……その約定にしたがい、クリティカルの一撃は浅い踏み込みに変じる。
たたらを踏んだ俺をオーコールの槍撃が貫く―― ッッ!



なぁんてな。
せいぜいが戦闘比+3、圧倒的優位の状況下だ。
敵側の累計ダメージは43点。あと2点で殺しきれないのがムカつくが、それも次の乱数「7」で完勝が確定する。


旋回――
旋回――
旋回―― 消失。


次の瞬間。立て続けにオーコールたちの四肢が、頭蓋が、胴体が爆ぜた。
残像すら見えぬ最大加速からの八艘跳び。
何も拳を当てるために懐に入った訳じゃあない。
敵の肉体の至る所が、俺にとっては連続跳躍のための足場になるのだ。
更に、絶死の間合いから離れようとした猿たちまでもが、全身から血飛沫を噴き、何が起きたのかわからないまま倒れ伏していく。
奥義・百歩神拳―― その正体は抉り取ったばかりの血肉だ。
超高速の散弾と化した肉塊と骨片が、同胞を引き裂き、穿ち抜いていく。


思い知るがよい、異世界の猿どもよ。
この俺の一挙手一投足こそが死神の腕(かいな)であることを。
享けろ。
必滅の無呼吸連打をッッ!
再加速し、一瞬の間もおかずに殴り、蹴り続ける。


「0」が「2」になったところで、たかだか4点分、ささやかな被ダメージの増加。
それがどうかしたのかい?
もはや反撃もクソを漏らす機会さえも許さない―― ッッ!!
貴様ら一匹残らず血達磨と潰し果てるまで、狼の怒りは治まらない―― ッッ!!



果たして。
ただ一匹の生き物のように、声をそろえて泣き喚くオーコールらのそれは、断末魔のあがきか、慈悲を求める懇願だったのか。
まぁ、どちらでもいい。
暫時、死臭漂う赤い泥濘のただなかに佇立し、久方ぶりの余韻に酔いしれる。
こちらの被ダメージは合計13点。
十全だ。
そして―― 打ち破ったばかりのオーコールの死体をすばやく探り、遂に、手に入れる。


ね ん が ん の  ぶ き を  て に い れ た ぞ ! !


……嬉しそうに叫ぶ局面でさえないのがちと悲しいけど。




  6本の槍(武器)
  2ふりの剣(武器)
  斧(武器)
  3食分相当の食料
  ほら貝


まあなんだ。戦利品というモノは、毎度ワケわからんものが混じるのであるな。
ほら貝って……なにモノ?
過去の探索の旅で言えば、絶対に使う機会がないだろう。断言していい。
というワケでカイ戦士の基本、無骨なのみを腰に下げ、足早にこの地を立ち去った。
オーコールがこの地の守護を勤めているなら、今の殺戮を知られるわけには行かない。
セロッカの助力を得られなくなる可能性さえあるのだ。
小川のせせらぎに沿って走り続ける。
モノリスは遠のき、じきに見えなくなった。景観は変わることなく、草原をどこまでも突き進む。
やがて眠れる巨人を思わせる、低い丘陵の連なりにたどりつく。
丘のふもとで、川べりの小道は丘のいただきへ登りだす。
脚力をゆるめず丘をのぼりきり……
俺は、眼窩の谷あいに広がる、新たな地を見下ろした。




じわじわと、絶望がこみあげてくる。


そこはヴォザーダの領域における、知性の砦。
すなわち、さきほどの類人猿どもの本拠地にして最大の都市。
原始だが、警戒の色を全面に押し出した要塞だ。
戦闘前の奴らの台詞を思いだす。
他国との同盟だか、共闘だか、援軍だか、そんな内容の会話だったはず。
奴らは何者かの襲撃におびえ、過敏になっている。


この厳戒の地にて、俺は最前の虐殺行為を伏せ隠したまま、セロッカを探さなければならない……


通過パラグラフ:(194 戦闘)→203→153→  治癒術の効果:+2点   現在の体力点:29点

(つづく)