ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ194:拳の輪舞:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。




 オーコールたちは突進して槍で攻撃をしかけ、武器を抜く君の動きはかろうじて間に合う。


    オーコール  戦闘力点21  体力点45


きらめく槍撃が正面から繰りだされる。
本文中では武器で弾いたとなっているが、この俺は徒手空拳。
裂帛の気合を放ち、右手の裏拳を振りぬいた。
「ッそォォいい!!」
速度を読みきって槍の先端に拳をあわせ、必殺の槍撃をことごとく外へ弾き返す。
カイの教えの向上―― サイアン・カイ+上級武術―― で、狼の素手はいまやマグナカイ公認の凶器だ。
丸腰のさなかにあって、戦闘力点のペナルティは−4ではなく−1のみ。
つまりは。
この窮地にあってなお、狼 の 戦 闘 力 点 は 2 2 点。あきれんばかりの有利だった。
彼我の戦闘比は+1。念撃のボーナスを加えて+3。
圧倒的ではないか!
この俺は!
20匹の猿などブチ殺してくれるわ―― ッ!!
槍をパリングした勢いに任せて体をひねり、最初の獣の内懐に踏み込んだ。
憎悪、殺意、殺戮の衝動。
眼窩の奥が盲いたように眩み、憤怒が煮えたぎっている。
オーコールどもよ。
このモノリスこそが貴様らの墓標となろう。
貴様ら、只の一匹たりとも生かして返さん。地獄の釜を開いたことを後悔しろ。そして―― 疾く死ね。



脇腹を掠める槍をかいくぐって一呼吸の間に連撃を繰りだし跳躍(乱数表6)、
眼窩を砕き、心臓の真上の胸骨をへし折り、鮮血と絶叫の最中を駆け抜ける(乱数表9)。
一撃、腕をかすめて傷を負わされるが(乱数表1)、
そんな程度でカイ・マスターの暴力の嵐は止まらない(乱数表4)ッ!



4回戦経過――
その事実に、意味などない。
37点分の戦闘、否、屠殺行為ののち、類人猿はわずかな生き残りを残すのみ……すなわち、殺戮の宴はまだ終わらない。
もとよりカイ戦闘術は多対一を想定して編み出された、高速機動を旨とする武術。
しかし、蝶のように舞い、蜂のように刺すヒットアンドアウェイの戦法に見られる、フットワークを追究したいわゆる縮地法の類とは概念を大きく異にする。
インパクトと同時に再加速しつつ別座標に移動するため、打撃の重さを発生させるフォロースルーが行われ得ない。
あえて一撃必殺を捨て、相対速度そのものを殺傷力の域にまで極めた異形の闘法。
ゆえに敵が全滅するまで―― もしくは遣い手が死ぬまで、この地獄の挽肉機は止まりはしないのだ。
再度跳躍せんとした次のターン、乱数表の出目は「0」


「0」だと!?


この瞬間、カイ・マスターのジェノサイドが発動する。
愚劣にて蒙昧なる猿どもよ、いまわのきわに畏怖するが良い―― ッッ!!



通過パラグラフ:(309)→104(戦闘)→  治癒術の効果:0点   現在の体力点:32点

(つづく)