ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ
【パラグラフ50→→→パラグラフ317:ヤニスを脱出せよ!:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。
さすが異世界、この扉には鍵穴も閂もない。
空気の排出音のみ残して閉じたプラチナ製の扉は、完璧にロックされていた。
だが、この俺も只者ではない。
閉じると同時に扉にへばりつき、持てる解錠スキルすべてをぶちこんだ。
俺を誰だと思ってやがる!
脱獄と金庫破りのプロ、カイ・マスター様だなのだ。
数千年にわたるマグナカイの伝承のすべてを開錠のため注ぎ‥‥数分後、満足して立ち上がった。
充実した汗をぬぐい、白い歯を見せてニヤっと笑う。
「ぬふぅ。びくともせんな」
いわゆる一つのザ・無様。
しょうがないサ。だって俺、ただのノーマル戦士あがりだしネ!
だが、まだ希望を捨てたわけじゃない。
教えの向上がもたらすおそるべき選択肢が、この俺を待ち構えている―― ッ!
予知を身につけていてサイアン・カイの階級に達していれば、83へ。
予知を身につけていないか、サイアン・カイに達していなければ、9へ。
周囲をきょろきょろ見回し、一人きりなのを再確認して床に転がった。いわゆるゴロ寝。
寝こけてソファーから落ちて頚骨をポキャリと言わせても困る。
さあ……マグナカイの奥義”魂の歩行”をはじめよう。
生ある体から魂を切り離し……(中略)……初対面の相手をみるかのように、 みずからの常命の体をじっと見つめる。 いまやすべての感覚が制約から解き放たれ……(中略)……手はなんの障害も 受けることなくプラチナをたやすく透過し、向こうがわの通路へとつきぬける。
まず報告すべきことがある。
幽体は……全裸でした。フォォォォォォォ!
脱衣(クロス・アウッ)!
脱ぎ捨てる!この肉体を!
キレイな色してるだろ?それは私のお稲荷さんだッ!
「……ォエップ」
安らかな寝顔がかえってキモチ悪かった。自分の顔なんざマジマジ凝視するもんじゃねェ。
死んでる体を踏み越え、やすやす廊下に躍りでる。
たやすく脱出成功!魂だけ!
この新たに獲得した力に熱狂した君は、危険をおかして監視塔や通路、階段さらに 部屋を調べていくが、実体ごと脱出する助けになりそうなものは何も見出せない。 塔の出口は一つだけ、しかも12名をこえる重装備のヨーコール守備兵に監視されて いる。 彼らのあいだをすりぬけて都市のただなかへ出て行こうとしたとき、精神力が弱まり はじめたことに気づく。再び肉体へと戻る刻限がおとずれたのだ。 魂の歩行に十分な力をとどめているうちに、すばやく塔の部屋へ引き返し、自分の 常命の身体へと入りこむ。
「だっふんだ!」
奇声とともに跳ね起きた。
覚醒は気持ちのよいものではなかった。寒気が走り、頭蓋の奥に火花が走る。
疲労から体力点−2のペナルティを受ける。
ヤレヤレだ。
とりあえず状況がつかめただけ。監禁状態なのに代わりはない。
隣りあった部屋を調べてみたいのなら、170へ。
この部屋にとどまるか。219へ
ていうか、隣の部屋なる安全そうな選択肢を発見。
さっそく移動を試みる。
入室を感知すると、部屋自体が暖かな琥珀と乳白色の輝きをおびた。たいまつの灯りではない、壁それ自体の発光だ。
スニーキングは無事成功。
むろん無人だった。ヨーコール用の部屋なので、とにかく家具がでかい。いすに座るのも一苦労だ。
中央には、色とりどりの食事が盛られたテーブル一式。
空腹がすぐにそうした不安を押さえ込み、まっすぐテーブルへと君を誘う。 ヤニスへの長い空の旅のあとでひどく空腹であることに気づき、いま食事をしなければ体 力点を3点失う。 治癒術を身につけていれば、78へ。 ヨーコールの食事を食べてみたければ、119へ。 ナップザックから食料を取りだして食べるか、食事をせずにすませる(体力点を3点 失うことを忘れずに)なら、231へ。
おおっと、罠っぽい選択肢登場。
勝手に腹が減ったことにされている上、自分の食糧を食うかどうかの選択肢まである。
8巻『戦慄のジャングル』でもこんなシーンあったよなあ。
ペイドと二人で言った時ァ、毒が混入さえていて、ひでえ目にあったよなあ……
今回は治癒術があるので判断可能。
ふむ……なんの肉かなんの果物かは不明だが、食事は栄養価が高いようだ。毒もなく腐ってもいないとわかる。
治癒術のお墨付きとあらばで、さっそくむさぼり食らう。
(中略)……十分に美味しいものだった。満足するまで食べたのち、完全に活力を 取り戻し、力がみなぎってきたことを感じる。 体力点を3点取り戻してよい。 ここにはまだ一食分の食料が残っている。これを持っていくのなら「食料:食べた ときに体力点+3」とアクション・チャート記すこと。
しかも薬効あり。これはとんだ拾い物だ。ナップザックに一食つっこむ。
探検もすませ、腹もくちくなり、しだいに眠気がおしよせた。
縦長の窓に近寄り、眼下の都市を見下ろす。
外側の階層へとつづく街路を行きかうヨーコールたちは、ひどく統制された組織体に思えた。
巨人族は実にマメで勤勉だ。単調で変化のない風景は、やがて眠りを誘う。
敵地かも知れぬ、この黄昏の幽冥界にて。
厳しい初日をくぐり抜けたカイ・マスターにも、ついに睡魔が迫りくる‥‥
通過パラグラフ:(50)→340→83→170→78→119→139→317 治癒術の効果:+2点 現在の体力点:40点(全快) |
(つづく)