ゲームブック・リプレイ：ローンウルフシリーズ
【パラグラフ297→→→パラグラフ199：ダジャーンの歓迎：（死亡・15）】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。
刃物じみた鋭さを増す風に抗い、気も狂わんばかりの遅々たる足取りで、遠い渓谷へ向かっていく。
熱い砂は流砂のごとく、一歩ごとに膝下までからみつく。
永遠にも思える苦闘をくりかえし、最後の数メートルは這ってたどりつく。
渓谷とは名ばかりの、浅い浅い溝だった。深さ１メートル足らず。気休め程度の風除けだ。
頭を上着の内側にうずめ、砂塵を吸わないよう、ゆるやかにごく浅い呼吸をくりかえし、力を取り戻す。
だが、異世界の法則はさらに冷酷だった。
俺の願望など無視して風は強まり、旋回する中心に何トンもの砂塵を吸いこんで致命的な巨大サイクロンを成長させていく―― ッ！
たけりくるう竜巻の影が渓谷におちかかり、恐怖が心臓を鷲掴みにした。
絶望に目がくらみ、溝のはるか終わりにみえる狭い亀裂めざして匍匐前進で突進していく。
今度こそ祈りはかなえられた。
―― 亀裂は、火山岩の深みへ下っていく縦抗の入口だったのだ。
だがおそるべき光景が、俺の心に影を宿す。
インクを流しこんだような暗闇の淵には、畏怖すべき獣だったらしい、粉砕された粉々の白骨が。
体躯のみならず、牙の長さ、ともに申し分ない戦闘力を予感させた。
この巨獣を蹂躙する『何か』が洞窟にひそんでいるのか。それともサイクロンの餌食にするためのブラフなのか。
亀裂から漂うは、甘く害を含んだ奇怪なる匂い。
接近しつつある竜巻によって世界は闇に閉ざされ、耳を聾する唸りだけが五感を支配する。
カルトの火の玉、ランタン 、またはたいまつ と火口箱 をもっていて使いたければ、61へ。 これらの品物をもっていないか、またはもっていても使いたくなければ、 激しい竜巻を避けるため、さらに亀裂の奥深くへさらに進むか。313へ。 前に進まず、ここでじっとしているか。236へ。
南無三とばかり、カルトの不滅の炎で闇を照らし、洞窟深く踊りこむ。
間一髪だった。
隘路をかけくだって底の洞窟に飛びこんだ刹那、大気が震え、竜巻が隘路の瓦礫を残らず吸い上げたのだ。
身震いして向き直り……俺は一人ではないことを知った。
洞窟の奥に二つの切れ込みがあらわれ、爛々としたオレンジの光が押し寄せる。
危機、そしてまた危機。
爬虫類の体躯を振りたて、いかつい甲羅と鱗に覆われた怪物が滑るように迫る。
その体は完全なカモフラージュとなって火山岩に溶けこみ、角のある頭を回転させ、蛇の目が悪意にきらめく。
ダジャーンに失墜して初の脅威の登場だ。
油断なくパラグラフに指をはさみ、右手をデュアドンの銀の弓 に伸ばす。
動物コントロールを身につけていて、プライメイトの階級に達していれば、13へ。
動物コントロールを身につけていないか、プライメイトに達していなれば、271へ。
ふむ。この世界でもカイの教えは健在らしい。
目を閉じ、内在する力を汲み上げ、ただちに退いて眠れと命じる。
抵抗は激しかった。
完全に匂いを消して命じたもかかわらず、怪物は攻撃を狙ってじりじり間合いを詰めてくる。
「乱数表」を指し、身につけているすべてのマグナカイの教えにつき１点づつを加えよ。
８以下なら、271へ進め。
９以上なら、199へ進め。
これは……チャンスなのか。
サイアン・カイの俺ならば、ボーナスだけで８。しくじりようもない。さくっと狙う乱数表は、「２」。
―― あ、危ねぇー。
だが成功だ。未知なる怪異を完全に押さえ込んだのだ。喜び勇んで次のパラグラフへ飛び、
生き物の古代の感覚が、君が見かけほど無力ではないと察知し、疑いのゆらぎがその残酷な 琥珀の目をよこぎる。 この機を即座に逃すことなく、生き物の食欲がその判断でくつがえす前に獣を攻撃する。 コージンダ 戦闘力点32 体力点48 勢いのある攻撃を加えたため、戦いの間じゅう、戦闘力点に３点を加えてよい。
「巫山ッッ戯んな……このボケナス―― ッ！！」
あらん限りの声で怒鳴っていた。
アホか。
この世はアホだらけなのか？
なんでコントロールに成功した瞬間、攻撃してんだよ本文の俺ェェェ！！！
無条件戦闘がここに発生、逃亡の選択肢なし。
奇襲ボーナス３点を加えて、狼の戦闘力は25点。緒戦から戦闘比−７。
悪寒が全身を震わせる。
いきなりの死地……絶望的な戦いだった。
従来の冒険譚でいえばラスボスあたり、クライマックス回に相当する敵が、ダジャーン最初の獲物だとは。
こいつも、創造神の気まぐれがなせる業らしい。
なんという諧謔精神か―― ッ！
| 通過パラグラフ：(297)→89→128→61→161→13→199(戦闘)→ 治癒術の効果：＋５点 現在の体力点：36点 |
（つづく）
