ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ1→→→パラグラフ297:失楽の地へ:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



辺境地獄(リンボ)の七層を抜けて落ちていく――
幾重にも反響する叫び、苦悶、絶叫、啜り泣きが五感を侵し魂にさえ喰い込んでくる。
百万世界の慟哭と怨嗟。
何万もの次元が善なる者の無力を恨み、非難を浴びせ罵り辱める。
……これは俺に向けられたものなのか。魂を麻痺させる悪寒がみせる幻覚の一種なのか。
ダークロード・ナーグの嘲笑が脳裡に甦る。
影の門に沈んでいく俺を見下ろしていた、あの邪な蠅の複眼を。
悪意に満ちた勝利の嘲笑を。
まんまと奴はやり遂げてみせたのだ。最悪の脅威を次元の果てまで吹き飛ばしたのだから。
ペイドは無事か。アダマス卿は。タレストリア軍はあの小部屋にたどり着いたのか。
彼らは、生きて戻れるのだろうか……!?


―― 引っかき、噛みつき、狼の死を願ってすすり泣く悪夢の輪郭。
―― 脅威的に増大しつづけるそれは、いまや全宇宙的な規模に膨れあがり……


唐突に光が、またたく千ものダイアモンドがすべてをかき消した。
燃えたつ輝きの円錐が俺を飲みこみ、金属めいた鋭いオゾン臭が鼻をつき、暖かい波が凍えた手足に殺到する。
一瞬ののち、俺は、まったく唐突に固い地面に叩きつけられていた。



「乱数表」を指せ。0は10として数える。この数が、影の門を抜けていくあいだに君が失
った体力点の数だ。「アクション・チャート」に調節を加えよ。


「うう、ううう……畜生、クソッタレが……」
喚き震えて歯をきしらせ、ふらつきながらも立ちあがる。
前巻ラストに引き続き、まさかの手荒い歓迎だった。乱数表は「0」。パラグラフ1で体力点10点を奪われるとは……
がばと顔をあげ、この見知らぬ、幽冥のごときおぼろな地平―― ダジャーンを見通す。
侘しく、生命を欠いた荒涼たる高原が、無尽大に広がっていた。
深紅の砂塵がくるぶしにからみつく。



【アクション・チャート 時の虜囚】  ローン・ウルフ 16人目(15度死亡)

能 力 値   .


・戦闘力点22(15点+2+2+3+1−1)  ・体力点40(28点+4+3+3+2)→現在28点

・金貨6枚   ・14ルーン


マグナカイの教え(階級:サイアン・カイ)   .


・動物コントロール ・念波動 ・治癒術 ・上級狩猟術 ・ネクサス

・予知 ・上級武術(得意武器で戦闘力+4:斧、弓、幅広剣)

習得した伝授のサークル   .


・火のサークル(戦闘力点+1 体力点+2

・光のサークル(体力点+3

・精神のサークル(戦闘力点+3 体力点+3

装備(武器 2つまで)   .

矢筒と矢(矢筒1つに6本まで)   .


・武器なし

・デュアドンの銀の弓(弓の射撃ボーナス+3)

・矢筒:有(1つ)   ・矢:残り4本

特別な品物(10個/12個まで)   .

ナップザック(8個まで)   .


・水晶の星型のペンダント

・銀の兜(戦闘力+2)

・盾(戦闘力+2)

・鎖かたびら(体力+4)

・カルトの火の玉

・ダイアモンド

・火種×2

・精神の指輪

・灰色の水晶の指輪




・アレサーの薬(戦闘力+2)

・アレサーの実(戦闘力+2)

・レンダリムの万能薬(体力点+6)

・カワマス(一食分)

・カワマス(一食分)

・カワマス(一食分)

・アレサーの実(戦闘力+2)

・レンダリムの万能薬(体力点+6)


「……感謝する。太陽神カイ、そして善竜ナイゼーターよ」
砂地にひざをつき、祈りをささた。
影の門からの落下のあいだに、ルオミのロアストーン は蓄えし叡智を俺の血肉にそそぎこんだ。
願ったのは新たなる力。
次なる教え、上級武術を願い、カイの智慧をわがものとしたのだ。
サイアン・カイ(8つ以上を習得)の教えの向上により、いまや狼は丸腰であっても戦闘力ー1のペナルティで済む。
上級武術の武器選択は、経験則からだ。
斧はむろん、狼の象徴たるソマーランド時代からの武器ゆえに。
剣か幅広剣かを少し悩んだが、重厚長大をモットーとするこの俺のマストバイは幅広剣で決める。
そもそもがソマースウォード 前提で難易度調整しました的な世界だ。
逆に、剣は入手しにくいのでは、という懸念も加味してある。
弓は言うまでもない。所持する唯一の武器だしね。
また、メントーラ(7つ以上)よりの教えの向上によって、弓の技量そのものも極限まで高まった。
通常の上級武術ボーナス+3に加え、さらに投擲・射撃に+2。
デュアドンの銀の弓 による命中補正を加えて、トータル+8のボーナスを誇るのだ。
このことに幾分かの慰めを見出し、矢筒に手をやった。
まだ手はある、ということ。
この残り4本の矢がある限り、カイ・マスターを阻める者は存在しない。
行動のときだった。
カイの叡智が、この空疎なる次元こそ黄昏界ダジャーンだと告げる。同時に、あらためて絶望と無力感がこみあげた。
かつて聞いた幾つもの伝承、噂。
旧友、魔術師バネドンとも話し合ったことのある命題のひとつだ。



ソマーランドの魔術師たちは、これこそマグナマンドと異なる次元とをつなぐ星の回廊
だと考えている。ゆえに影の門――トラン魔術師協会の地下にもその一つがある――を
通り抜ければ、ダジャーンに足を踏み入れることができる。
 だが、影の門から帰還した者は存在せず、魔術師たちはこの旅が一方通行だと結論
づけたのだ。


恐怖の塊が胃の中を冷たく締めつける。
追放の次元、ダジャーン。故国ソマーランドにおいては死刑を上回る極刑のひとつ。
俺は、脱出不能の奈落から帰還するだけではなく……
トーガールの影の門より放逐された残り2つのロアストーン を回収しなければならないのだ。
予知における教えの向上―― 『魔術探知』をもって探る。
だが、反応はゼロ。
ロアストーン の痕跡も、影の門が開いたという形跡さえ、ここでは見当たらない。
呆けていたのはどれほどの間か。
灼熱の風が残忍さを増し、巻きあがる砂塵を目にしてわれに返る。
鋭くつきささる突風は致命的な嵐の前兆にすぎないとカイの感覚が告げる。ただちに遮蔽物を見出さなければ、命はない。



 指をかざして見通し、避難場所を探す。
 左手のなかほどに火山岩の厚板でできた山のような何かが見え、右手にはさらに
遠くに、風下へと走っていく浅い渓谷があることに気づく。


  石の山の後ろに避難したいのなら、212へ。
  渓谷へと避難することにするか。89へ。



通過パラグラフ:(1)→20→145→297  治癒術の効果:+3点   現在の体力点:31点

(つづく)