ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

復讐の美酒に酔いしれる

【パラグラフ41→→→パラグラフ341:復讐の終わり:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



残心の姿勢のまま、2度の乱数を両眼にやきつけた。
初撃「8」、二の太刀も「8」。……ロークに叩き込んだトータルダメージ、24点。
ここに、狼の復讐は完結した。


片膝をつく俺の右手の先―― 磔刑に処せられた聖人のごとく、アモリーのロークが虫の息だった。
串刺しにした俺の掌に、まだ跳ね踊る心の臓腑が血を撒き散らす。
閃光の二連撃。
手刀で十文字に斬り開かれたロークの胸板に、大穴が穿ち抜かれていた。


「う、うア……が、ぎ……」
「心臓を抉られてもまだ舌は動くと見える。とはいえ流石に痛いか」
「ガ、はッ……タ、タガジンよ……」
「残念だったな。お前の主は、お前を最初の供物に選んだようだぜ」
ぞぶりと、音をたてて腕を引き抜く。
左手で五芒星の護符を奪い、右手の中の醜い臓器をびちゃりと握りつぶした。
間欠泉のように血が噴きあがり、鉄の臭いがたちこめる。
「苦痛の主に仕えるがいい……永遠に」


死にゆくロークの形相を目に焼きつけ、俺は反転した。
左手をつきだし、背後より襲いかかろうとしたデーモンロードを、五芒星の護符で牽制する。
「一度ならず二度までも……つくづく愚かだな、デーモンロードというものは」
「ナ……ナニヲ」
「この世界でもっとも多くの神を殺した者……それがローン・ウルフ。最後のカイ戦士の通り名だ」
事実だった。
デーモンロード、ダークロード、超常の敵こそが俺の獲物。
不死の敵に精通したカイ・マスターの叡智が、タガジンの弱点を白日にさらけだす。
ロークの護符とタガジンの首にかかった護符のあいだに流れる不可視の力こそ、奴を現世につなぎとめる源。
力の奔流を逆転させれば、デーモンロードは存在を維持できなくなる。
「似合いの地獄へ還るがいい、貴様の下僕をつれて」
護符が閃光を放った。
仮初めの肉体を剥奪され、タガジンの躯がほの白く蒸発していく。


寺院の中央ブロックへ跳躍したタガジンは、身も凍りつく遠吠えを響かせた。
「ヨクモ、ヨクモ……死ヌガ良イ、カイ・マスター!! 貴様モ、信徒トモドモ道連レニシテクレル!」
雷鳴とともに崩壊しだす寺院にもはや用はない。
ロークの死を見届け、ささやかな満足とともに俺は寺院をあとにした。
先をあらそうロークの支持者たちを突き飛ばし、獣の身軽さで地上へと帰還していく。
崩壊と圧縮の轟音。


最悪の罪業を背負った常命の者。
狼の復讐リストの最上位に位置していた最後の一人。
ザカーン・キマーについで残されていたパズルのピースが、ここに埋まった。
馬で寺院の外へ逃げていく生き残りを軽く見逃す。
つまりはこういうこと。前回は分からなかったが、はじめから、この時点でロークを殺す運命もあったということだ。
そして……
夜の帳が下りた今、忘れようもない、最大の危機がこの俺に迫っていた。
―― セナー・ドルイドの亡霊、という名の、最悪の脅威が。



  彼らの後を追うか。181へ。
  彼らを無視して、空き地で夜を過ごすことにするか。19へ。



通過パラグラフ:(41)→326→341  治癒術の効果:+2点   現在の体力点:27点
(つづく)