ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ41:祭司長ローク:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



石畳にヒビを入れ、狼の脚力にまかせて疾駆した。
地下寺院の石畳にして8枚分。
この程度、俺にとってはすでに必殺の間合い。
「おゥゥ……タガジン、タガジン、わが偉大なる苦痛の王よ!」
モリーの領主はガタガタと膝を震わせ、白髪を揺らしつつ、痙攣のやまぬ手で黒いローブに手を差しこんだ。
天蓋にこだまするは、裏返った哀願のみ。
「汝の下僕を助けたまえ、タガジン!」
……重なりあう忍び笑いは、いったい誰と誰のものだったか。
俺の読みは当たった。
恐怖と苦悩を好み、嗜虐的な気質を持つものこそタガジン―― 『苦痛の王』。
にやりと舌なめずりする魔犬は、しかし、下僕のおののきを楽しみ味わい、歓楽にすりかえている。


 デーモンロードは雷のような咆哮で下僕に答えるが、君の攻撃から下僕を救うため
急ぐ様子もない。タガジンはロークが放つ恐怖を楽しんでいるように見え、君が襲い
かかると、生き物の咆哮はぞっとするくすくす笑いに変わる。


カイ・マントのフードの下で、俺もまた忍び笑った。
その傲慢こそ命取りと知れ、タガジン。
じきに貴様は悟るだろう。
この数ターンが、貴様の数千年を奪いさる致命的な判断ミスだったことを――
ロークの死を持ってセナー・ドルイドの宿願が灰燼に帰すということをな!


憎悪と死の恐怖のないまぜになった目で俺をにらみ、ロークが細身の剣を黒衣の懐より抜き放つ。
忘れるはずもない。奴は俺と伯仲する剣の達人でもあった。
……6巻の、あの時点では。


  ローク  戦闘力点18  体力点20


  2回戦以内に勝ったら、326へ。
  3回戦目に突入したら戦いをやめ、ただちに10へ。


この瞬間、俺は犬歯を剥いて笑った。
デーモンロードに介入されるまでわずかに2ターンの猶予……笑わせる。
歴戦のカイ・マスターには永遠に等しい長さだ。
復讐の時来たれり。
ついに、4年越しの収穫祭が訪れたのだ。



無手の狼とロークは互角、戦力比±0。
躊躇なく念波動を発動させ戦闘比を+4に押し上げる。
やはり血腥い呪詛と狂気がロークの肉体をも蝕んでいたか。体力点も20点と、往年には及ばない。
ロークを殺すためには、2連続で乱数6以上。


本来全身を覆う念波動の流れを操り、憤怒と憎悪のすべてを利き腕にそそぎこんだ。
めりめりと音を立て、軋む筋骨そのものが歪な槍へと作り変えられていく。
甘美なる復讐を遂げるのに、ただの撲殺では芸がない。
最高の一撃で。
至上の痛みこそを。
石壁さえ穿ちぬくカイ・アーツの粋をもって、貫手を氷の刃と化すのだ―― ッ!
臓腑をえぐり、骨の髄まで恐怖を刻み込んでくれよう!


接敵と同時に2度、抜く手も見せず乱数表をえぐる。
肩からロークに激突し、信者たちがどよめく石舞台の下へ落下していく。


……果たして、結末は。



通過パラグラフ:(41)  治癒術の効果:+0点   現在の体力点:25点
(つづく)