ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ263→→→パラグラフ116:疫病の使徒:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



マグナカイのさらなる教えが発動し、俺の意識を連れ去っていく。
其は遥かなる悠久の彼方、偉大なる叡智をもって古マギ人が世界を統べていた、古王国の時代――
連綿とこの地にて血塗られた、太古の因縁と呪いについての史略だった。



古王国の時代……
この寺院こそは、自然について理解を深めゆく古マギ人たちの、研鑽と叡智の殿堂だった。
多くの発見がもたらされ、マグナマンドの発展をうながした。
寺院を守るのはパター人。
古マギに仕えるドロダール人種族の一派であり、その見返りに、彼らは古マギより新たなる
薬草の精製技術やドルイド教の知識などの秘密を学び取った。
だが古マギ人は気づいていなかった。


―― 彼らパター人の中に、裏切り者の血が流れていたことを。


パター人は恩義ある古マギを裏切り、邪悪なるドルイド僧、セナー人の侵入を許したのだ。
秘密を略奪したセナー人は、ここ、寺院の最下層で、彼らのあがめるデーモンロードを
召還したのだった。
かくて、デーモンロードの手により、育まれてきた平和と健全な文化のすべては破壊された。
デーモンロードのもたらす致命的な疫病―― のちに『大疫病』と称された最悪の災厄――
古王国の終焉をもたらした。
混乱に乗じ、セナー・ドルイドとパター人は力を強める。
しかし、咎人の天下は儚かった。
ハーバル人と呼ばれる善なるドルイド僧一派があらわれたのだ。
彼らは「大疫病」の蔓延した歳月を生き延びた古マギ人の援助をうけ、セナー人を打ち破った。
寺院を追われたパター人は、ハーバル人の前に厳粛なる贖罪の誓いをたてた。
医療の研究に専念し、あらゆる技で病気を破ることで、裏切りを償うという誓約を。


以来、パター人の直系の子孫はレッドイーマーズとして知られ、新しい世代の者も
それぞれ古代の誓約を守ってきた。


砂漠のバサゴニアで、ダナーグへの道すがらで……
たびたび狼の探索行を援助してきたレッドイーマーズたちを思いだす。
彼らは咎人の十字架を背負いし者。
善なる勢力への協力を誓ってきた者だったのだ。
そして、俺が目撃するこの儀式こそ、最悪の罪業たる歴史の再現に他ならない。
ロークと従者たちはセナー・ドルイドだった。
彼らは己が主、デーモンロード・タガジンの助けを請うため、いま一度この地を訪れたのだ。
その儀式が、その恐るべき願いが、まさに成就の時を迎えつつある―― ッ!


「出でよ! 出でよタガジン!」
「永遠なる苦痛の地獄より、汝を呼び出さん!」


真に畏怖すべき旧支配者の一柱が。
マグナマンドを壊滅せしめた『大疫病』をもたらす、厄災の白き凶犬が――
祭壇の上に具現化し、ぎろりと、俺の潜む寺院の扉をねめつけた。
全身の血も凍るような魔犬の咆哮。
まごうかたなき神の嘲笑が、精神を苛む痛撃となって俺に襲いくるッ!


通過パラグラフ:(263)→298→116  治癒術の効果:+2点   現在の体力点:28点
(つづく)