ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ
【パラグラフ126:孤狼無双・後篇:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。
この展開、ゲームブッカーとしては非常に悩ましい。
過去の経験上、太陽の剣で発狂ボスにクラスチェンジする場合、通常戦闘は代替のザコキャラだった。
ザコさえ殺せば勝ち、ボスとは剣を交えず切り抜けるケースが多いのだ。
(リプレイ 【リプレイ274】 などを参照のこと)
一方で8巻ヘルガスト戦のように中ボス相手の場合、ソマースウォード に関係なく戦闘突入しがちだ。
重要なのは『余力を残すべきかどうか』の判断。
ターン制限がついているので、速攻すればシンザールとの戦闘を避けられるかもしれない。
だが先ほどの奇襲でも、矢が命中したにもかかわらずシンザールは無傷のまま―― ということは!?
「畜生」
毒づきつつ、ナップザックから取り出しかけたアレサーの実 を戻す。
慎重さこそカイ・マスターの身上。
ましてや狼の凶暴よりも狐の狡知が問われる局面なのだ。
ターン制限にかかわらず次のVSシンザール戦は不可避だと考え、『余力を残す』べきシーンだと判断するぜ!
ハッパは封印してゲームブック業を解放し、是が非でも速攻する!
クローンの群れ 戦闘力点23 体力点60
4回戦以内に戦いに勝ったら、11へ。
それ以上かかったら、321へ。
身の丈ほどもある棍棒を地面に引きずりながら、偏平足で地響きあげるクローンはまさしく肉の重戦車そのもの。
分厚い皮膚は瘤状に隆起し、大抵の革鎧が及ばない防御力を有している。
さらに言えば……身の毛もよだつような事実だが……奴らの好物こそ「人肉」なのだ。
念撃だけなら、ここは戦闘比+1。
だが「4回戦内に勝てば」のノルマをクリアするためには、毎ターン15点以上のダメージが必須。
右記のリンク先→ 【戦闘結果表】 を見れば一目瞭然。
最低でも戦闘比+3までの底上げ、つまり念波動の発動が必須条件となる……!
その上で、毎ターン「9」か「0」を出し続けなければならない。
しかも、その「9」さえ、3回出してしまった時点で60点に届かずTHE ENDとなってしまう。
限りなくシビアな綱渡り。
乱数表の前で気息を整え、迫りくる敵を待ち構える。
征くぞ!
1ターン目:「9」―― 突進してくる肉の壁を体捌きのみで避け、第一陣の全員に致命傷を叩きこむ。
2ターン目:「0」―― 死のステップを一瞬たりとも休めず、返り血さえかいくぐって縦横無人に斬りまくった。
3ターン目:「0」―― 半減した敵を着実に屠り、動揺した部隊を追撃すべく足をひるがえす。
立て続けの3ターン、精神を集中する。
完璧な死の舞踏だった。
残るは15点、ツキと技量に任せて存分にバシュナのナイフ に血を啜らせる。
浮き足立ったクローンたちの残存数もすでに4分の1以下まで減少している。
運命の4ターン。渾身の一撃を振り下ろす。
乱数の出目は…………
「3、―― !?」
「秘 奥 義 ・ サ イ コ ロ 交 換!!」
「次に出す乱数表の9以上と、この数字『3』を交換する!」
即座にゲームブック業をくりだす。
最悪の空振りを因果の地平にぶっ飛ばし、代わりにクリティカルを呼びこむ。
この瞬間バシュナのナイフ が燃え上がり、太陽の剣さながら、蒼き地獄の業火で戦場を薙ぎ払う!
「ギィィィィィィ!!!!」
魂消える50もの怨嗟がシンフォニーとなって心地よく耳朶を喜ばせた。
カイ・マスターにしかなしえない狂気の単騎駆け。
幾重にも折り重なる敵の包囲網を一木一草悉く灰燼に帰せしめ、全滅させてのけたのだ。
現出した煉獄の炎を背に、ゆらりと足を踏みだす。
「最期の刻だ、シンザール」
念波動の消耗で体力を8点失いつつも―― 狼は、地を蹴って肉薄した。
残るはただ一人。
この一撃に、すべてをこめるッッ!!
通過パラグラフ:(126戦闘) 治癒術の効果:0点 現在の体力点:14点 |