ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ280→→→パラグラフ150:セザ攻略戦・開幕:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



苦悶に苛まれた前哨戦の一夜が明けた。
仄白む幕営の外を見やりつつ、ギリギリまで治癒術の力を注ぎ、内臓の傷を癒していく。
レンシア・エル両国の兵が奮起する怒号がとどろくのを待ち、俺は起き上がった。
「遅かったなロルフ……体は大丈夫か」
「お気遣い感謝します、皇子」
司令本部が立てられた丘の頂上へ到着したとき、すでにグレイゴール皇子は戦場の指揮をとっていた。
望遠鏡で敵陣を観察し、矢継ぎ早の命令を羊皮紙に口述筆記させ、伝令を走らせる。
昨夜までの情報と、黎明のひと時に収集した直近の戦況を重ね合わせ、より適切に部隊の進行ルートを練り直すのだ。
小型の机に置かれた最新の前線図を覗きこむ。



<セザ攻防戦――両軍布陣図>
     

「2対1で同盟軍が勝る……が、敵軍の配置は巧妙だ。こちらの攻撃をよく防ぐだろう」
皇太子に手渡された望遠鏡で、前線を精緻に観察した。
ソマーランドの元帥として、そして歴戦のカイ・マスターとして、この過酷な戦場を把握する。
荒廃したセザは、今では、平坦な丘に密集する廃屋の集合にすぎなかった。
北側には寺院の廃墟がそびえる小さな丘、そして森。
南には、低い壁にかこまれた果樹園があり、戦場全体を分断するドブ川の濁流で二分された平原が広がっていた。
ルオミから伸びる街道は、バリケードでふさがれ厳重に守備された石橋で川と交差している。
北側もまた敵の動きが激しい。
先を尖らせ杭がズラリと林立し、セザの町と寺院の廃墟、二つの丘の間をふさいでいる。
中央部を突破しようとする騎兵隊は、この防衛線一帯すべてを幾重にも取り囲むドラッカーの弓兵から矢の洗礼を浴びるだろう。
「刻限だ」
グレイゴール皇子が口をつぐむと、ふっと、不自然な沈黙が垂れ込めた。
少しのあいだ、時間が停止したかのように両軍がにらみ合う。
声高に緊張を破ったのは、サーナック王の本営から響く高らかな進軍喇叭の音だった。
―― 進撃の合図だ。
どこからともなく、地鳴りのような戦場の喊声が空気を揺るがした。
先頭を切ってレンシア軍の騎兵隊が動きだす。



通過パラグラフ:(280)→150 治癒術の効果:+1点   現在の体力点:15点
(つづく)