ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ190→→→パラグラフ280:王の寛大なる恩寵:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



「幅広剣だ」
「……おお、帰ってきたぞ斥候兵が!」
「見ろ、瀕死の怪我を負っている!!肩を貸すんだ急げ!」
さすがに忘れることなく合言葉を口にすると、にわかに陣地は騒然となった。
駆け寄ってきたレンシア兵の腕の中に倒れこむ。
彼らは盾を掲げ、いまだ散発的に降り注ぐ矢から俺を守り、野営地へ運び込んでくれた。
「大丈夫か斥候兵」
「ああ……命に別状はない。少し寝かせてく……」
「悪いがそれはできんな」
「へァ?」
ぼへらっとした俺を、なぜか手荒くレンシア兵が叩き起こす。
「死んでないならとっとと傷を洗って服を着替えろ。王が報告をお待ちだ」
「あ、いや、ちょっ……重傷者への、気遣いは……?」
「貴様ァ、サーナック王に徹夜させる気か!!」


(中略)……そこで傷を綺麗に洗い、服を着て、最後にサーナック王の本部へ戻る。
 王と皇太子は、君の報告を待ちわびていた。
 ……(中略)……サーナック王は君の勇敢さを称え、グレイゴール皇太子は使者に
命じて君のそばに付き添わせ、自分の本営へと向かわせる。
 偵察任務の試練を終え、ぐっすりと睡眠をとることのできる機会に感謝する。


ケツを蹴られて傷病車に放り込まれ、乱暴に傷を洗浄され、引ったてられるように王の御前へ。
この間、俺は断末魔の悲鳴をあげっ放しだった。
「よくぞ仕事を成し遂げてくれた斥候兵……余はちと眠いが、な」
「・・・・・・」
ちっとも嬉しそうではない、目も笑っていないサーナック王とおざなりな会見。
一応、本文では『発見されたにもかかわらず、橋を守備する軍隊についての有力な情報を集め』とあるが、うーん。
結局分かったことって、死の騎士が橋にいますって事実だけなのだ。
とりあえず成功扱いになっただけ温情なのか。
さすが覇王サーナック。
本音と建前を上手に使い分け、部下をこき使っていらっしゃる御様子。見事なライフハックであった。
「よく頑張った、もう寝るがよい斥候兵。ふあ〜あ、まったく……徹夜など余は金輪際御免こうむる」
「……」
嗚呼。
何という不条理がまかり通る階級社会哉。
「どうか傷を大事に、ローン・ウルフ卿。今夜はせめて英気を養って頂きたい」
かろうじてグレイゴール皇子だけが俺を気遣ってくれた。
骨折り損の草臥れ儲けとはこのことだ。
試練の残した過酷な結末(主に激痛)に泣きながら、ようやく本営の藁床で眠りにつく。


……無論。
待ったなしで明朝はセザ攻略戦に駆りだされるのだと、重々理解しながら。



通過パラグラフ:(190)→227→280 治癒術の効果:+2点   現在の体力点:16点
(つづく)