ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ107→→→パラグラフ180:死の騎士:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



あるいはゲームブック業を使って出目を変えてもよかっただろう。
だが俺はそうしなかった。
探索の旅はまだ始まったばかり、セザの攻防戦が控えていることを忘れてはならない。
こんな序盤でズル業を使わされる屈辱、そしてそれ以上に体力が満タンの俺が逃げる理由自体ないのだ。
クソ乱数表のクソ出目など、この俺の知ったことか……ッ!
登場と同時にそっ首刎ねてくれるわ!
泥水を跳ねちらかし、屈強な体躯をひけらかすような足取りで死の騎士があらわれる。
橋げたにつっかえるばかりの巨躯をかがめて川に刺さった槍を引き抜いた騎士は、次の瞬間、警戒の叫びをあげる。
アーチの下で殺意をにじませる隠密の狼に気づいたのだ。



  念波動を身につけていて使いたければ、139へ。
  このドラッカーの精鋭を攻撃したければ、180へ。
  橋の下から逃げ、安全な同盟国の宿営地まで走りたければ、316へ。


どうやら運はまだ狼を見捨てたわけではないらしい。
戦闘以前に念波動の一撃でこのデカブツを沈めてしまえば万事終了、スニーキング続行ってわけだ。
じゃあな。
この悪臭のなかで、溺れるまで寝てやがれ……!


 精神の力を引き上げ、騎士の心に精神エネルギーの波を放つ。
 騎士は後方にによろめき、君の攻撃に神経系をかきむしられ、篭手をはめた
両手で黒い兜を締めあげる。
 だが、騎士は苦痛に慣れていた。
 長年にわたるブラックシュラウドの修練場での日々が常人であれば発狂する
レベルの苦痛に耐えることができるようにし、神経を遮断したのだ。


「な、なん……だって?」
念波動が、効かない―― ッ!
唖然として棒立ちになりかけ、危うく刺突の一撃をかいくぐった。
ぞくりと、痛烈な歓喜が背筋を駆け上ってくる。
ついに……。
ついに、ここまでの敵と合まみえるステージへ俺はたどり着いたのか。
スキャナーズばりに脳髄を融かし頭蓋をブッ爆ばす(リプレイ 【リプレイ499】 参照)念波動の一撃さえ「ただの苦痛」で終わらすような敵と。
しかもボスクラスの強敵でさえない。こいつはただの歩哨なのだ。



  この場にとどまり、戦士と戦うか。180へ。
  戦闘を避けることを選ぶなら、316へ。


知らず、唇がめくれあがり、獰悪に犬歯をむき出していた。
上等じゃないか。
そんなに死にたいのなら、望みどおりのものをくれてやるぜッ!
バシュナのナイフ を引き抜くと同時に跳躍、死角からの初撃を喰らわし……


  死の騎士  戦闘力点24  体力点38


 この戦士に念撃は通用しない(念波動は通用する)。


  2回戦以下で戦いに勝てば、316へ。
  それよりも多くかかったら、261へ進め。


俺は戦慄と、取り返しのつかない絶望を味わった。

(つづく)