ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ341→→→パラグラフ181:彷徨う復讐鬼:(死亡・14)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



懐かしのゲームブック業。
指を鉄の定規のごとく本に挟みこみ、先の展開がどうなっているか読み進めていく。


 寺院の反対側から森へ伸びる小道は、川岸に上陸してきたときと
同じ、古代の舗装された街路だった。
 苔でびっしり覆われているが、時折むきだしの石板を打つ遠い蹄
の音がこだまする。

蹄の音だけが頼りだ。
すぐに周囲は夜の暗闇に呑まれ、視界をさえぎられた。
インクを零したような漆黒の森をゆっくり進むが、耳にするのは殆ど梟の声と蝙蝠の羽ばたきばかりだ。
1時間かそこら歩いたころ、石の橋にたどりついた。
かつて横切っていた流れはずっと昔に干上がり、枯れた水路は落ち葉で覆われてている。
拭いきれぬ疲労が、こわばった全身を侵していた。
食事と休息を体が欲している。



  立ち止まってここで休むか、204へ進め。
  休まずに小道にそって進みつづけるか。37へ進め。


「……逃がしたか、これは?」
すでにここまで読み進めた時点で、俺は顔をしかめていた。
ローン・ウルフにとって許すべからざる宿敵を追っているにもかかわらず、本文に緊張感がない。
そもそも敵の後ろ姿さえ捕らえきれず、どころか休息の選択肢まで用意済みだ。
それでもロークの影を追い求め、立ち止まらず前進する。
夜のしじまを2キロも進まぬうち、男たちの悲鳴が周囲一体に響きわたった。
暗闇から、泡を吹いた馬が飛び出してくる!
すばやく身をひねって乗り手を失った暴れ馬をかわし、声の原因を求めて慎重に前進した。
樹木が唐突にとぎれ、急斜面の縁に出た。


古代の採石場を一望できるすり鉢状のくぼみ。その中心部で松明が儚げに揺らぎ、ぞっとしない超自然の闘争を照らしだす。
黒ローブの男が腕をいっぱいに伸ばし、燃える松明を振り回していた。
カイの感覚が、ロークの部下の1人だと教えてくれる。
だが、真に忌まわしいのは、泣き叫ぶ男を押し包んだ超常の影だった。
霧につつまれた5つの幻影が虚空を旋回しつづけ、幾度となく男の燃えあがる松明の守りを突破しようとする。
男の背後には土を盛りあげた古代の埋葬所。


 暗い入口のかたわらに、革鎧を着た2人の兵士と3頭の馬がが横たわっている。
 1ダースもの亡霊の影が兵士ひとりひとりの上に浮かび、まるでその体をむさ
ぼっているかのようだ。

  予知を身につけていて、メントーラの階級に達していれば、303へ。
  ローブの人物が亡霊の攻撃者をしりぞけようとするのを加勢するか。71へ。
  戦いを避けて採石場のへりを通り、さらに森の奥深くに進んでいくなら、175へ。

どうやら悪霊たちの晩餐会に出くわしたらしい。
血しぶきこそ飛び散りはしないが、酷く剣呑な雰囲気だ。
何をしたか知らないが、わざわざ埋葬所に入り込み、藪をつついて蛇を出した阿呆がいたということなのだろう。
そして明確に「兵士」と記述されている以上、ロークはこの場所にもいないようだ。
ここで久々のゲームブック業を終了。最前のパラグラフまで一気に巻き戻し、深い溜め息をつく。
どうやら……今回は、ロークは逃げだす運命にあるらしい。
次なる邂逅を待ちわびるしかないようだ。


すでに、ゴースト島にも静寂の帳が下りていた。
夜を迎えて生き物たちの気配が影を潜め、そびえたつ寺院が黒々と月光をさえぎっている。
馬で立ち去った兵士たちなどガン無視。
考えてみれば、前日は完徹で夜通し森の中を歩きつづけている。目に見えない疲労が溜まっているのだ。
苔むした寺院の外壁に身を預け、ゆるやかな眠りに落ちていく。



通過パラグラフ:(341)→19 治癒術の効果:+1点   現在の体力点:4点
(つづく)