ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ
【パラグラフ77→→→パラグラフ294:ハッパダイバー:(死亡・14)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。
大きく踏み切り、アカタズの牙を逃れて峡谷に身を躍らせた。
獲物を捕らえ損ねた野犬どもは慣性を殺しきれず、幾匹かが崖から滑落する。
切り立つ崖に何度も体をたたきつけられてバウンドしたアカタズの断末魔が耳朶を打つ。
俺はそんなへまはしない。十分に勢いをつけ、川面めがけて跳躍したのだ。
天地上下を狂わされたまま奈落へと落ちていく。
間延びした時間があまりに鈍く感じ、次の瞬間、茫然とする程の加速度で川面に叩きつけられる―― 体力点を4点失う。
予想通り、即死はなかった……内心ほくそ笑む。
だが流速は早く、対岸までたどりつくこともできず延々流されていく。
凍りつく水のなか1,5キロ以上も漂流しただろうか。
ようやく足先が、川底の滑らかな岩に触れるようになり、川はゆるやかになってきた。
温存していた体力を振り絞り、寒さに震えつつも水を切って泳ぎ、ついには土をかきむしるようにして川べりに上陸。
岩だらけの岸に倒れこみ、大きく息を整えた。
やれやれ、とんだ冒険行だ。
・・・そうして、衝撃とともに、命の代償を思い知る。
この命がけの急流下りは、高い対価で贖われることとなった。 「アクション・チャート」のナップザックに入れる物のうち、2番目、3、5、7番目の品 物を削除せよ。また、革袋の中身の半分を失い、さらに特別な品物のうち一つを選んで削除 しなければならない。 「アクション・チャート」に必要な調整を加えよ。294へ。
「ちょ! 待っ!! ウェェェェェェーーーーーーーーーー!」
なんぞこれ!
なァァァんぞコレェェェ!!!
あまりに驚きすぎて吐いた。言うなればリアル吃驚ゲロ。
そらないだろーがよぉォォ!!
何ですかこの「俺だけ狙い撃ち罰ゲーム」は!
しかもこのパラグラフだけ、何一つズルできないようにナップザックの順番まで列記してやがるじゃねーですかよォォ!!
よりによって、ハッパで埋め尽くしたこの回に限って――
泣きじゃくりながらナップザックを開き……さらに号泣で涙の海に溺れる。
【アクション・チャート トーガールの牢獄】 ローン・ウルフ 15人目(14度死亡) |
能 力 値 . ・金貨10枚 ・27ルーン → ・金 貨 5 枚 ・ 1 3 ル ー ン |
特別な品物(10個/12個まで) . |
ナップザック(8個まで) . | ・水晶の星型のペンダント ・銀の兜(戦闘力+2) ・盾(戦闘力+2) ・鎖帷子(体力+4) ・カルトの火の玉 ・ダイアモンド ・火種×2 → ・火 種 × 1 ・精神の指輪 ・灰色の水晶の指輪 ・牛追いムチ |
・アレサーの薬(戦闘力+2) ・レンダリムの万能薬(体力点+6) ・アレサーの実(戦闘力+2) ・青い錠剤(二服分) |
真逆。
熟慮の末ナップザック一杯にぶちこんだ俺のハッパたちが、こんなチープな手順で半分も奪われてしまうなんて……
いや酷い。ご無体だ。あんまりだ。ひどすぐる…………
ああァァァァァンまりだぁァァァァ!!!
・
・
・
しばらくは何もする気になれず、ぼんやりエルの空を眺めていた。
寒冷地の澄みきった快晴の空には雲ひとつなく、強い陽射しが降りそそいでくる。
ずぶぬれの服が迅速に乾き、痛めつけられた手足に人の温もりが戻ってくる。
「あー……死にてェ」
漢ローン・ウルフ、偽りのない本心だった。
いっそここで本を投げ捨て、アクション・チャートを引きちぎってゼロスタートしたいぐらいだ。
だが、まあ……そうはいかないのも、リプレイの辛さではある。
立ち上がり、この新たな状況の把握に努める。
川べりからは、石だらけの小径が霧で覆い隠された樹海の深部へ伸びており、密生する木々をくぐる道はそれきりだ。
不可思議な場所だった。
快晴の空から注ぐ灼けつくような日差しにもかかわらず、全身の悪寒がいつまでたっても拭えないのだ。
不意に、脈絡もなくグレイゴール皇子の顔を思い出す。
記憶を探り、その理由に行き当たった。
「あれは呪われた島だ…… 」
「あそこに踏みこんで生きて帰った者は、ただ一人しか存在しない」――
成程。
ここが、勇猛なるグレイゴール皇子を蒼褪めさせるほどの異界――
来訪者を呑みこむ奈落の地、ゴースト島なのだ。
どうやら……ここからが、ロアストーン探索の本当の正念場らしい。
通過パラグラフ:(340)→294 治癒術の効果:+1点 現在の体力点:32点 |