ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

nacht_musik2008-09-27

【パラグラフ178→→→パラグラフ231:地獄の沼へ:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



「……落ち着いたか?さっきのは何だったか、聞いてもいいかね?」
「気にするな。血を流しすぎたせいでの、一時的なものだ」
サバイバルに長けたセブ・ジャレルも、カイ・マスターの常人を逸脱したタフさ加減には驚いているらしい。
夜襲以降、一度も足を止めることなく俺たちはテイントールの森を前進しつづけていた。
暫時悩んだが、思いきってここでレンダリムの万能薬 を使い、6点の体力を取り戻す。
何しろ、薬を使ってようやく体力点は12点。さっきまでは念波動さえ使えないほど弱っていたのだ。
夜明ける前、ゴツゴツした目の粗い松林のなかを曲がりくねる小径へ出る。
「この猟師たちの古い道は、密輸業者の隠れ里へ伸びている」
「密輸?」
「ああ。エル公国は金や宝石類の採掘が昔から盛んだった。税を払うよりはと、ヘルスワンプに命を賭けた連中が大勢いたのさ」
ジャレルの解説を聞きながら、昼前には荒れ果てた掘っ立て小屋の集落にたどりつく。
流速の早いこの川岸で、ピルシ住民は密輸出を繰り返したのだ。
「まあそれも、グレイゴール皇子が密輸行為を死刑と定めてから、しだいに廃れていったのだがね」
……ピルシへ来る途中見かけた廃坑跡の集落を思いだす。
独立独歩を志すそうした気風が、ピルシのレジスタンスを支えているのかもしれない。
不意に、ジャレルは歓声をあげてボート小屋の一つへ突進した。
腐った扉を引きちぎって中へ入っていく。
「よし、やはりだ。このボートはまだ生きている。腐食も少ない。こいつなら使えるぞ!」
古びたボートを川辺に押し出す。
川べりの草を払って漕ぎ出しながら、ジャレルは笑った。
「こいつは懐かしい記憶だ……まさか、斥候兵と一緒に密輸船を漕ぐ日が来るとは思いもよらなかったぞ!」



 ジャレルがオールを取りつけ、荷物を舟に放りこんでこの
リーダーの向かいに腰を落ちつける。なめらかな漕ぎ手で
ジャレルが舟を流れのなかへ進めていく。君たちは、邪悪な
ヘルスワンプの水道一帯へと船旅にのりだす。


離れてゆくエル公国の岸壁を眺め、悠然たる河川の流れに、思わず武者震いを覚えた。
ついに始まったのだ。
この探索の最も困難にして最も刺激的な道のりが。
ダークロードの目を欺くため、人跡未踏の大沼沢地ヘルスワンプを抜けていく旅路が。
唐突に、勇敢なるバケロスの記憶が頭を掠めた。
ペイドもセブ・ジャレルも、ともに善なる世界への希望を抱いて力を貸してくれている……
あの旅と同じ結末は繰り返すまい。強く、そう誓う。



通過パラグラフ:(178)→282→231 治癒術の効果:+2点   現在の体力点:14点
(つづく)