ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

巨大なテイントールオオカミが襲いくる

【パラグラフ329→→→パラグラフ234:孤狼VS巨狼:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



悪夢の中、響く遠吠えがひとつの記憶を呼び覚ます。
公都ハムボールドからルオミまで随員した際、仲間の兵から聞いたテイントールオオカミの噂を。
―― 残忍で獲物を生かさず殺さず嬲り尽くす気質。
―― 並の射手では矢が当たらないほどの敏捷性。
―― そして獰猛な顎の一噛みにより左半身を喰いちぎられ、ショック死した歴戦の隊長のこと。
夜営地での唯の与太話だと思っていた……いまこの瞬間までは。
「背中合わせに立つんだ」
だが、囁くジャレルの声にはゆとりの欠片さえない。
緑がかった瞳が、鬱蒼と密生した木々の闇から獣の兆候を見通す。
「そら、あそこだ!」
剣尖で松の瘤を指し、鋭くジャレルが囁く。
血に飢えた絶叫が暗闇からわきあがり、甲高い、怖気をふるう遠吠えとなった。
暗緑の葉が音を立てて千切れ飛び、すぐに黒々とした小山のような影が疾駆してくる。
墨を流したような夜に獣の瞳だけがぬめるような銀光をたたえ、黄色の長い牙がばくりと顎をのぞかせる。
狼との戦闘自体は慣れていた。
ダークロードの最下層に位置する亜人種、ジャークの乗騎がドゥームオオカミだ。
狼の凶暴性と鼠の繁殖力を併せ持つ厄介な連中だが、奴らの殺し方には長けている。
だが。
優に15センチ以上の牙を噛み鳴らし、泡を噴いてまさに駆け寄ってくるこの巨獣は一体何なのか……!?
瞬時に手が動き、デュアドンの弓に矢をつがえる。
避けえない距離に近づくギリギリまでこらえ、飛びかかってきたオオカミの鼻息がかかった瞬間リリースする。
この一撃で、悪魔の獣を殺すのだ―― ッ!!



「乱数表」を指せ。
 射撃に関するボーナスをもっていれば、それをすべて加えよ。


  0から2なら、336へ。
  3から7なら、349へ。
  8以上なら、195へ。


シビアきわまる選択肢。
デュアドンの弓による+3のボーナス、さらに未修得の上級武術など、いまや様々な上方修正が弓の一撃に加算される。
それゆえ、逆に普通のカイ・マスターによる一射は困難を極めるのだ。
ここでは+3の恩恵のみ、最悪を免れたことに安堵しつつ乱数を差す……結果は3。合計値で6だ。
矢の一撃は、過たず巨獣の喉を貫いた。
思わず手に力入るが、次の瞬間、痛みに盲いた狼が凶暴化して飛びかってきた。



テイントールオオカミ  戦闘力点25  体力点42

 4回戦までに戦いに勝ったら、202へ。
 戦いが4回戦よりもかかったら、戦闘を中止して、ただちに234へ。


素の戦闘比は+1、念撃を加えて戦闘比+3。だが、選択肢が、切迫した状況であることを教えてくれる。
ここは、確実に4回戦で倒さないとマズい。
万全を期して念波動を使い、戦闘比+5まで彼我の戦力差を引きずり上げた。
あとは短期決戦、おのが運と出目に頼るのみ――
乱数表を鋭く指す。
運命の女神は……4,1,4――そして


鮮血の流星雨がテイントールの森に降りそそぎ、切り刻まれたカイ・マントをドス黒く変じさせた。
脇腹に長大な牙で風穴を穿たれ、食いちぎられる寸前で身をかわしつつ……
「……おお!お慈悲を!」
こいつは。
なんというザ・無様――!!
4連戦で敵へのダメージ累計は34点、たかがケダモノ一匹殺しきれない。
とどめを刺す機会すら与えられず、テイントールオオカミが俺を大地に押し倒す……
心臓を貫かれ、断末魔の絶叫が闇を引き裂いた。








ケダモノの胸部からジャレルの剣が生え、剣尖が俺の鎖骨に触れていた。紙一重だ。
カイ・マスターが他人に助けられること自体屈辱ではあるが、今はそれどころではない。獣の死体を蹴りはがす。
俺は礼儀としてジャレルに笑顔を見せ――
「上から来るぞ、気をつけろォォ!!」
跪いた姿勢から跳躍した。
さっきまでジャレルが戦っていた群れの一匹が、軽々と宙を飛び踊りかかってきたのだ。
無防備に屈んだジャレルと交錯しつつ、バシュナのナイフ に蒼い炎を宿らせる。
負債を払う前に、まず獣を殲滅させねばならない――


生き物が空中を飛びかかってくるあいだに、武器をかまえ、攻撃する。
獣の攻撃には勢いがあり、仲間から攻撃をそらすチャンスはただ一度きりだ。
「乱数表」を指せ。
火の伝授のサークルを修めていれば、その数に5を加えよ。

  0から6なら、312へ。
  7以上なら、178へ



通過パラグラフ:(329)→70→349(戦闘)→234 治癒術の効果:+2点   現在の体力点:18点
(つづく)