ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ291→→→パラグラフ46:ピルシの大歓待:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



二十ものボー銃が至近距離から俺をポインティングしていた。
一斉に火を噴けば、俺の全身は散弾で穴が空くどころか欠片も残らないだろう。
隊長の口元に邪な、猜疑心あふれる笑みが浮かぶ。
「どうなんだ? 斥候兵、おまえは」
―― みなまで言わせず、胸の上に斜めに手を重ねた。
最初にグレイゴール皇子と謁見した際に覚えたエル公国の礼式だ。忘れるわけがない。
「……遠路ご苦労だった、斥候兵」
「俺の名はロルフだ、隊長」


と、不満げにぶつぶつ呟いていた隊長の顔が急変した。
「お、おォォウ……そうだロルフ、一緒に酒場へ行かないか。長旅で疲れた体を休めたまえ」
「は?」
「いやいや、まあまあ。グレイゴール皇子から王命を授かっているのだろう?」


あー。成程。
早速く印章つき指輪 が効力を発したらしい。
権力と金の匂いに引かれたのか、銃把を握る部下たちを追っ払うと居酒屋へ俺を誘う。
目隠しの革のカーテンを引き開けると、12対の目がいっせいに余所者、つまり俺をにらみつけてきた。
どう見てもただの村人ではない。全員が戦闘訓練を積んだレジスタンスのようだ。
わざわざ俺の分までエールの大ジョッキを運ぶと、満面の笑みで隊長が向かいの椅子に座りこむ。


「前線の戦況はどんな具合なんだ、ロルフ」
「ついにセザへの攻撃が始まった」
「そうか……そのタイミングに合わせてピルシまで来たわけだな。で?」
「……」
「皇宮から持ってきた知らせを教えてくれ」
「答えられんな」
逸る隊長をはぐらかし、そっけなく答える。
「任務の詳細はセブ・ジャレルにしか話せない、これ以上の説明を拒むことも皇子から与えられた俺の『権限』だ」


「なんだと? ……皇子らしくない。そうだろう?」
隊長が唸り、数人の客が無言で首肯する。
「そこまでの特務を末端の一斥候兵に任せるか?やはり、お前は身の証を立てるしかないな」
「猜疑心で頭が曇ったか、隊長」
「当然の義務だ。こそ泥のシンザールは幾度も刺客を送り込んできた。俺にはお前を試す『義務』がある」
俺の背後のカウンターを見やり、隊長が3回瞬きする。
1メートルほど後方でカチリと音が響き、第六感が鮮やかなビジョンを脳裏に刻んだ――
背後から、居酒屋の主人の石弓が俺を狙っている。
「教えてくれ兵士よ。お前はどこで公国斥候兵としての訓練を受けた。ハンボルトか、シャーワンか……それともテスラか?」


 精神の伝授のサークルを修めていれば、

精神の伝授のサークルを修めていなければ、あてずっぽうで答えなければならない。

 「ハンボルト」と答えるなら、
 「シャーワン」と答えるなら、
 「テスラ」と答えるなら、


何という疑心暗鬼かー(棒読み)
疑り深い糞レジスタンス共の性根の悪さと排他性に薄ら寒い思いさえ覚える。
先刻の敬礼に続き二段構えの罠、しかも、精神の伝授のサークルがなければ、完全な勘任せなのだ。
未熟なカイ・マスターは、6割の確率で胸板から鏃を生やす羽目になる……



通過パラグラフ:(75)→7→46 治癒術の効果:+2点   現在の体力点:28点
(つづく)