ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ75→→→パラグラフ291:ピルシでの歓待:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



じきに小道は粗くなり、新しい苗木や木の根がうねる獣道の様相を呈してきた。
麗しい緑の天蓋が険しい渓谷の縁で途切れ、曲がりくねる小径となって眼下の急流へと狭まっていく。
マグナカイの動物コントロールを究めた俺にとって、この程度の悪路は障害にもならない。
易々と馬を操り、荒れ果てた丸太小屋の集落跡にたどりつく。
錆と腐敗に痛めつけられていたが、そこがかつて砂金採りの集落だったことは識別できた。
一軒の扉の上部で木の標識が傾ぎ、ギイギイと揺れている。


 カイグの集落 .
生活の名残を残すペンキにはひびが入り、板は新しい刀傷の跡がついていた。



方向認知術を身につけていれば、102へ。
谷を登る道のりを進むか。313へ。
流れにそって小道を進むのなら、18へ。


谷を登りつつ、尾根の高みからピルシが見えないかと期待をいだくが、青々と密生する樹林が視野を狭めていた。
……たしかに、ここは待ち伏せと奇襲に最適の地形だ。
セブ・ジャレルとレジスタンスは、この地の利を生かしてドラッカー軍を翻弄したのだろう。
じき、その成果が見えてきた。
二十もの切断されたドラッカーの頭部が、一列に並んだ木の杭に突き立っている。
―― 髑髏を模した黒い鉄兜に中身を詰めたままで。
この無慈悲な警告は、すでにレジスタンスの領域に踏み込んだことを意味している。
というかですね。


更に探索の旅を続ける前に、君は空腹を覚えた。
今食事をとらなければ、体力点を 3 点 失う。


…………この光景を見ながら当然のように腹を空かす俺の神経も大概だと思った。
上級狩猟術を駆使して野兎を捕らえ、新鮮な肉を喰らいながら先へ進む。
日暮れと同時にピルシへたどりつく。
夜霧渦巻く山間の小村は、薄暗い通りと曲がりくねる隘路で構成されていた。
街区の左右に並ぶ丸太小屋の鎧戸から光が洩れ、かろうじて人の気配を伝えている。
いつものように町並み探訪と洒落込むのは難しそうだ。
どこから現れたのか、馬から下りるなり、屈強そうな巡回兵の一団が迫ってきたからだ。
松明が鮮やかに輝き、偏屈そうな瞳に宿る疑りぶかい色を照らし出す。
一団のリーダーはエル公国斥候隊長だった。
制服の造りからして、俺の階級より遥かに階級が上だと一目で分かる豪華さだ。
「敬礼の作法を忘れたか、斥候兵?」
「へ?」
額をこすりつけんばかりの距離から恫喝され、思わず冷淡に返事する。
脅すような声音で隊長は唸った。
「いや、そもそも、お前は斥候兵でもないのか。新たに送りこまれた、チンケなドラッカー密偵か?」
撃鉄をあげる音が連鎖的に響き、連中の武装が散弾を撒き散らすボー銃だと気づく。
ボー銃は単発式だが、この近距離では非常に殺傷力の高い武器だ。



額に手をあてて敬礼するか。193へ。
掌を相手に向け、まっすぐ腕をあげて敬礼するか。60へ。
胸の上に手を重ねて敬礼するか。7へ。


またしても―― 猜疑心あふれる糞レジスタンス共による手荒い歓迎だった。
身の潔白か、さもなくば鉛玉か……
温厚で鳴らした狼の堪忍袋も、正直そろそろ限界だった。
いい加減、『鏖』って選択肢出てこないですかね?
出てこないですよね?



不死身の男コブラを気取るつもりがないなら、ただちに敬礼せざるを得ない。
しかも、ここでは明白な死の危険が予想されるため、秘奥義・指はさみノゾキによるズルができないのだ。
この選択肢の記述――
どこかで、見覚えがないだろうか――



通過パラグラフ:(75)→313→291 治癒術の効果:+2点   現在の体力点:26点
(つづく)