ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

ドラッカーの突撃兵がなだれこむ

【パラグラフ220→→→パラグラフ286:オーバーキル城:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



油断なく指を挟みこんだまま、赤い外套をはためかす突撃兵に応戦する。
念撃が効かないと知って焦りはしたが、念波動を叩き込めば毎ターン戦闘比−3。
体力点にしたところで、たかだか10点のアドバンテージにすぎない。
この程度の逆境、覆せずして何がカイ・マスターか!!



軽い一撃を放って牽制しつつ深手を与えるが(乱数表7)、
容赦ない一撃でナイフごと吹っ飛ばされる(乱数表3)。
これに狼の本能が目覚めて反撃の一閃で一人の首を両斬すると(乱数表9)、
反撃もおそれず刀身をへし折ってバシュナのナイフ を二人目の胸に埋め(乱数表9)、
とどめの一撃、蒼い炎がドラッカーの兜ごと燃やし尽くす(乱数表0)――


「しまった」
思わず本音が口をつき、凝然として死んだドラッカーたちを見つめる。
ドラッカーたちを殲滅し、鏖にしてしまった――
何やってんだ俺は。
痛撃を喰らったことで逆上し、本気を出したとでも言うのか。
違うのだ。もうホントの本当にぶっちゃけると、ここは勝つつもりなんかなかったのだ。
ただ激戦だねーって感じでぶつかって……
どうせ戦闘のツキも微妙だし、乱数表がひどいことになるから……
ヤバイ一歩手前で「指はさみノゾキ!!」って使ってクレバーに戻るつもりだったのに。
ただ一騎で突撃部隊を壊滅させた俺の技量に、敵は総雪崩となり、壊走を始める。
鬼神のごとき俺の戦いぶりに奮起して守備兵が持ち直す。
英雄のように称えられ、バリケードがすみやかに穴をふさぎ、タホウ落城の危機が防がれた。
……のだが、灰緑のカイ・マントは、皮肉にも奴らの返り血をたっぷり浴び、ドラッカーの外套よりも血塗れていた。
負傷+念波動の消耗で食らったダメージは実に13点。
デカイ……
特大のダメージなのだが、勝ち戦をドブに捨てることなど、矜持の高い俺に許されることではないのだった。
「まあ…その…なんだ…せいぜい頑張れよ」
気勢を上げるタホウ守備隊に英雄とは思えない捨て台詞を残し、傷をかばいながら西門を去る。
大体、どこにいるのか俺の愉快な仲間たちは。
これ以上、戦場を彷徨うのはまっぴらだ。
どんどんザカーン戦の勝機が遠ざかっていくじゃあねーか……畜生。
街路を歩く背後から、不意に疾駆する馬車が迫ってきた。


 一連の戦闘でけがを負った馬が曳いている幌を開いた荷馬車が、都市の外壁に面した通りを
突進してくる。
 御者席に立っているのは、評議会の警備隊長だ。
 隊長は黒い髪を鷲の翼のようになびかせ、北門に援軍が必要だと必死で呼びかけている。


怒髪天をつき、激情のオーラが全身から立ちのぼる。
『評議会の警備隊長』だと!?
ザーリクスへ向かう狼をあれほど執拗に邪魔だてした警備隊長……だと!?
忘れようもない。狼の復讐心はかくも根深いのだ。
泥棒街へ追い詰められた恨み、忘れちゃいねーぜ……!!
「おい、そこのあンた、北門へ……」
「死ねェェい!!!」
速度をゆるめた隊長が声をかけてきた瞬間、抜群の一撃を食らわした。
使い手に呼応して怨嗟の焔を迸らせたバシュナのナイフ が、鋼の胸当てを真っ二つに断裁する。
「きッ、貴様何をするか!」
「降りてこいマヌケが。ここでブチ殺してやる」
戦闘の構えをとり挑発するが、警備隊長は罵声を吐き捨て、あっというまに鞭をくれて走りさった。
戦の混乱で気が触れた相手か何かと誤解したらしい。
俺が誰かも気づいてないようだ。
街路の彼方に消えた馬車をにらみ、地面に唾を吐いて進みだす。
そして、恐怖は突然に訪れた。



通過パラグラフ:(220)→30→168→286  治癒術の効果:+3点   現在の体力点:23点
(つづく)