ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ
【パラグラフ2→→→パラグラフ342:落日のタホウ:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。
ロアストーンの部屋が消滅し、まるで大空へと落下していくかのように、ひたすら加速しつづけながら上昇していく。
次の瞬間、殺到する光に目を閉じ……
足元に固い感触を覚え、再び目を開けた俺は無惨な戦火の跡を見下ろしていた。
ロアストーンの力で、パーク中央にそびえるサリス寺院の尖塔へ転送されたらしい。
教えの感覚は正午だと告げるものの、あたりは薄闇が垂れこめ、一面の灰色の煙が空を覆いつくしていた。
眼下には、焼け爛れたレインボーパークが広がっていた。
―― その先には壊滅した『天鵞絨の城塞』が。
古の美都は壊滅的な打撃を被っていた。
誇り高き建造物は大火災に見舞われ、惨状を呈している。
通りも街並みも、瓦礫に埋もれ、大穴があき崩壊した城壁のあちこちは急ごしらえの防塁が積みあげられている。
そして……
北と東の胸壁は、埋葬すらする余裕もなく、累々たる死体が打ち捨てられていたのだ。
痛ましい光景に奥歯を軋ませ、視線を外す。
外した視線の先、城壁の彼方の敵軍が包囲しているタホウ平野も異様だった。
幾千の篝火が灯されているのか、煙で渦巻く霧が平野を包み隠している。
敵の規模や布陣を隠すための煙幕なのかもしれない。
あるいは―― ダークロード・ナーグ自身の異様な姿を隠すための偽装なのか。
いずれにせよ、猶予は残されていなかった。
装備を確認して迅速に塔を駆け下りる。
思いがけず知った未来視が正しければ、この後、ザカーン・キマーとの直接対決が待っている。
まずは現状を把握するため、戦闘を控えて急ぐしかない。
盟友バネドン、チバン師、賢者グウィニアン……
彼らの誰かを見つけだし、篭城戦の経過と現状を知らなければならない。
【アクション・チャート 恐怖のるつぼ】 ローン・ウルフ 14人目(パラ2暫定) |
能 力 値 . ・戦闘力点23(19点+2+2) ・体力点33(26点+4+3) ・金貨24枚 ・27ルーン |
マグナカイの教え(階級:プリンシパリン) . ・動物コントロール 念波動 ・念波動 ・治癒術 ・上級狩猟術 ・ネクサス |
|
習得した伝授のサークル . ・光のサークル(体力点+3) |
|
装備(武器 2つまで) . |
矢筒と矢(矢筒1つに6本まで) . |
・バシュナのナイフ ・デュアドンの銀の弓(弓の射撃ボーナス+3) |
・矢筒:有(1つ) ・矢:残り5本 |
特別な品物(9個/12個まで) . |
ナップザック(8個まで) . | ・水晶の星型のペンダント ・銀の兜(戦闘力+2) ・盾(戦闘力+2) ・鎖帷子(体力+4) ・カルトの火の玉 ・ダイアモンド ・火種×2 ・精神の指輪 |
・銀の燭台 ・銀のボウル ・砂金入りの小瓶 ・青い錠剤(二服分) ・水の入ったびん |
そういや 水の入ったびん なんてあったんだっけ。
使わなかったなーとか思いつつ、通りを歩いていく。
次第に、俺の顔はこわばりだした。
馬鹿な……。
塔の上からでは分からなかったさらなる惨状が見えてきたのだ。
一般論だが、篭城戦は援軍を期待して行うべきものだ。
にもかかわらず、ここにはタホウ軍以外の軍勢は見当たらない。
負傷兵、民間人、血を流す兵を連れた担架などが行きかい、まさに最前線の地獄絵図だ。
―― 辛うじて抗戦してはいる―― が、マグナマンド最古の都市タホウは陥落寸前だった。
西地区を急いで進んでいく。
法と正義の象徴たる評議会アナリウムは集中的に攻撃されたのか、伽藍の廃墟となり、黒煙を燻らせている。
思わず唇が歪んだ。
因果応報とでもいうべきか、皮肉なものだった。
チル議員をはじめ、ダークロードに良心を売り渡した連中がどうなろうが、もとより俺の知ったことではない。
焦土と化した街路の突き当りは大きな建物だった。
負傷者のための避難所として使われているらしく、担架が出入りしている。
そのとき、炎が屋根を舐め、避難所が燃えはじめた。
数少ない動ける兵士たちが青ざめ、死に物狂いで負傷者を避難させようとしている。
思わず舌打ちをこぼす。
評議会でアナーリ共和国の公敵に仕立て上げられたこの俺にとって、奴らが何人死のうが生きようが知ったことではない。
ないのだが……これを見逃すのは寝覚めが悪い。
混乱した街路を走って避難所に飛びこんだ。
「手の空いた奴は負傷者を連れ出せ!」
「炎を消すんだ!急げ!」
兵士たちの叫びに天啓を受けてナップザックをまさぐる。
まさか……
ひょっとして、ついにこの局面で役立つのか?
このほんの僅かな 水の入ったびん が……大火も瞬時に消し去るという噂の錬金アイテムだというのか?
無論、そんなはずもなかった。
・ネクサスを身につけていて、プリンシパリンの階級に達していれば、159へ。
・ネクサスを身につけていないか、プリンシパリンに達していなければ、59へ
(つづく)