ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ207→→→パラグラフ67:紅蓮の脅威・ツァドレイゴン:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



あまりにも過酷なペナルティに慄然とした。
先ほどの爬虫類人の攻撃とあわせて考えてようやく納得がいく。
ザーリクスの中心部に位置するこの建造物には、侵入者を排除しようとする意図が働いているのだ。
逆説的にいえば……
ナイゼーターの叡智の結晶まで紙一重で迫っているのだと、そう考えうる。
ともあれ、今はこの脅威をどうにかしなければならないッ……!


 本能的に武器に手を伸ばして扉を背に身構えたが、接近しつつある生き物を
目にした途端、恐怖で体が激しく震えだす。


生存能力に特化してきたカイ・マスターの本能が、全身全霊で戦闘を拒絶する。
ここまで死を意識したのは初めてだと言っていいだろう。
暗闇を掻き分けるように、巨大な龍の頭が突きだされ、見る間に長い首が、全身が出現する。
緑色に輝く瞳が動き、邪悪さを湛えて俺を探る。
それは獲物をなぶる、愉悦を含んだ肉食獣の眼だった。
龍の口腔からは、鋸状の長い牙が下顎の外にまで突き出していた。
堅牢な鱗で鎧われた肉体はあらゆる打撃と斬撃を完全に遮蔽し、一方的な虐殺を可能にする。
粗い羽のような体毛が扇状に広がり、喉もとの真紅の肉垂が上下に揺れた。
威嚇行為―― むしろ貪り喰う獲物に絶対の恐怖を与えるためなのだろう。
どのみち正面から戦えば、万に一つも勝ち目はない……



・ソマースウォード を持っていれば、336へ。
・ソマースウォード を持っていなければ、67へ。


だからこそ。
この選択肢を目にして、むしろ俺はソマースウォード を持ってこなかった先見の明を誇った。
ここで太陽の剣を手にしていれば、恐らくは強制バトル突入だ。
見るからに一撃が致命の威力を有する敵手と真っ向勝負など、下の下策。
狼が最強である所以は戦闘力ではなく、危険を回避し死線を掻い潜る生存力の高さに起因するのだ。
こちらが攻撃してこないと知り、龍は顎が外れるほど口を開いた。
騎馬の一連隊を丸飲みに出来そうな洞窟めいた顎の奥は、絶対の死を約束する暗黒空間。
太陽の剣を持っていたところで、突進されればそこで終わりだ。



・火種 を持っていれば、16へ。
・精神の指輪 を持っていれば、214へ。
・どちらも持っていなければ、277へ。


これは、どちらが罠なのだろう……
悩ましい選択肢だった。
火種 か、あるいは入手したばかりの精神の指輪 か。
どちらかの選択肢が失敗をもたらすと断言できる。
大抵は入手したばかりのアイテムが役立つものだが、ここでは、その経験則は当てはまらない。
精神の指輪 を持っていたサイ・グールとの戦いでは、一度は逃げたにもかかわらず襲われている。
つまり、強制戦闘の可能性が高いのだ。
だとすれば、この時点で必ず狼は精神の指輪 を手にしている……あの場に捨ててこない限り。
ならば火種 が有利か。
一度しか使えない消費アイテムだし、最初に装備から選ぶ必要がある。
火種 はいわば初心者救済アイテムだ。
ただ、用途が限られているため効かない相手も多い。
ダナーグでもカザン・オードでも身をもって体験している。
手負いの獣のように凶暴化したら、さらに手に負えない。
どうする?
迷っている暇はない。
重い頭を下げ、太古の生き残りツァドレイゴンが突進をかけてくる――



通過パラグラフ:(207)→67→  治癒術の効果:+1点   現在の体力点:16点
(つづく)