ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

nacht_musik2008-05-18

【パラグラフ218→→→パラグラフ97:ザーリクスの遺産:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



前にここまで来たときは、この地底湖のどこかに落ち、狼は死んだ訳だ。
冷たい水底まで潜っていけば、ハッパを胸に幸せそうな13人目の屍蝋が見つかることだろう。
ようやく、前走者を追い越したことになるが。
この先、未知なるザーリクスでの探索がこの俺を待ち受ける――


 自分の運命を考えるうち、気分は沈んでいく。
 この巨大な地底の大空洞から脱出するため君が知っていた唯一の手段は、いまや封印されて
しまったのだ。
 しかし、完全に望みを失ったわけではない。
 カイの感覚が強力な存在を見つけているからだ。


探索の終焉に近づいたときの、お馴染みのエネルギーの波動、太陽の力がひりひりと心を震わす。
だが、これほどまでにカイ戦士の体に働きかける強力な反応は初めてのものだ。
生みの親、ナイゼーターの都市で眠っていたせいなのか。
タホウのロアストーン は恐るべき力を有しているのだ……
地底湖周辺は、真の闇ではなかった。
カルトの火の玉 を取り出さずとも、薄暗闇が見通せる。
発光源は露出した輝く鉱脈の堆積層だった。
湖の全体を取り囲むように、灰色の石段の連なりが巨人の階段さながら、湖面から順に積み重なっている。
ちょうど俺の正面、一番高いところに、光り輝く鉱石で作られたアーチが口をあけていた。
僅かな光源を頼りにアーチのあたりまで湖岸を歩く。
連続する厳しい試練で全身が疲労に侵されていた。
休養をとることに決め、石段の足元に大きな窪みを見つけて、この洞窟の中で休むことにする。
上級狩猟術を駆使して食事による体力点3点のロスを防ぎ、眠りについた。


カツン……


耳朶の奥で何かがこだまする。小石の転がるような音だ。
音がやみ、俺は眠い目を擦りつつ顔を上げた。
「!!」
反射的に上体を捻じってかわす――
一秒前に首があったところに錆びた剣がブチ当たり、濁った金属音を鳴り響かせた。
寝込みを襲撃した者の正体を確かめた途端、吐き気を催す。



見るもおぞましき人類の醜悪なパロディが俺の上に馬乗りになり、跨っていた。
灰色の皮膚をした怪物が、残酷かつ非人間的な目で俺を見下ろす。
その腕は奇怪な螺旋を描いて捩じれた筋肉構造をもち、骨と皮だけのように見えながら、その実凄まじい怪力を発揮する。
何よりも瞳に宿る獣性と邪悪な知性のバランスが俺を不快にさせた。
人間を「食糧」と見なす本能に混じって、殺戮の悦びが覗いているのだ。
罅割れた唇から唾液を滴らせ、そいつは再び剣を振りかざした。



ザーリクスのグール  戦闘力点19  体力点27

上級狩猟術を身につけていなければ、戦闘の間、戦闘力点は3点低くなる。
ソマースウォード で攻撃する場合、この不死者に与えるダメージは2倍となることを忘れずに。


無言でバシュナのナイフ を抜き、直線の動きで攻撃する。
仮に不死者であるとしても、その肉体は冷たい鋼で容易に断ちうるものだった。
乱数表の出目は2、さらに1。
初撃こそ不覚をとったが、意識がはっきりしてからの反撃は迅速だ。
念撃まで加えて戦闘比は+6。3回戦目で「8」を出し、きっちり息の根を止める。
とはいえ、この程度の雑魚相手に7点のダメージ は芳しくなかった。
不覚傷を止血して立ち上がる。
……この地底湖は奴らの餌場だったのか。
ぞろぞろと、湖岸を埋め尽くして亡者の一団が迫りつつあった。


通過パラグラフ:(218)→97(戦闘)→  治癒術の効果:0点   現在の体力点:26点
(つづく)