ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ14→→→パラグラフ23:ロクトパスの巣:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



炎のゆれる錯覚だったのだろう。
気を取り直し、再び前進したそのとき……
「!?」
血の気が引き、全身の毛穴が開く。
植物の蔦が猛然と蠢きはじめ、おぞましくも迫ってきたのだ!
こいつは植物なんかじゃあない。
茎に擬態した本体の半ばで爛々と双瞳を輝かせる、肉食獣の触手なのだ!

 
 照らしだされた輝きの中で、通路のつきあたりにぼんやりとパネルが見えた。 
 湿った緑の蔦が、パネルからほんの数十センチのところで壁から垂れ下がっている。 
 その時、そもそもこれが木の蔦などではなく全然違う何かであることに君は気づいた―― 
これは、湿った石壁に巣を作るロクトパスの触手だ。 
 


ロクトパスについて学んだ知識を思いだす……こいつには、念撃も念波動も通じないのだ。
こんな狭い場所で戦うのは難しい。
動物コントロールを使い、プライメイトの技量でその暴力的な精神に働きかけた。
喉から葉擦れのような擦過音を発し、危険を告げ、壁の穴まで退けと命じる。
……じょじょにロクトパスは壁に沈み、やがて道が開かれた。
「おい、どうしたよ、急げって」
焦燥感をにじませてソウがささやく。
それもそのはず、金庫室では衛兵が押収品を引っ繰り返して家捜しを始めているのだ。
俺たち2人がいないと知れば、次に何を探し始めるか想像に難くない。
怪物が退いている間に肘と膝で突進し、天井のレバーでパネルをスライドさせる。
金庫室の壁を探りまわす衛兵から逃れるように、俺とソウは脱出口から監視塔に隣接した厩舎へ転がりでた。
元通り嵌まったパネルがもう開かないように、木材のかけらをビッシリと詰めこむ。
窓から外へ出ると、そこは薄暗い路地だった。
ふうと大きく深呼吸し、ソウがにやっと俺に笑った。
「じゃあな。幸運を祈るぜ、北方人。あンたの仲間が連行されたのは東門兵舎だぜ。忘れるなよ」
敏捷に街路へ溶けこんだ影を見やり、次の手を考える。
チバンのところへ向かうか、バネドンを助けに向かうかの2択だった。
―― 2つの理由でバネドンを助けだそうと決める。
一つには、招待状 を持ってない上に初対面の俺がチバンと会ってもどうしようもない、ということ。
もう一つは、前回チバンに会っているので面白味を欠く……という、実に世俗的な理由だ。

 
 路地の突き当りには、重槍のように柄を地面に立てた道標がつくられていた。 
 尖った3枚の道標が棒の部分に釘づけされている。 
 それらは、タホウのこの地域にごちゃごちゃ建ちならぶ煙っぽい居酒屋と店のなかへ消えて 
いく通りを指していた。 
 



・方向認知術を身につけていれば、337へ。
・ブルッカー通りを北へ向かうなら、158へ。
イーストウォール通りを東に行くのなら、250へ。
・西に向きを変え、バータ道を進むなら、278へ。


(これは……?)
思わず口笛を吹いていた。
(オラワクワクしてきたぞ……?)
見知らぬ夜の街を観光する俺。これが冒険ってもんだろう、なあ!
しかも通りは3方向へ伸びている。
選択の喜びもあるってものだ。
方向認知術は未修得、よってどの通りが正解か分からない。しかしそれが実に良い。
寄り道のほうが、往々にして成果を得られる。
これは過去の経験からも、ゆるぎないマグナマンドの鉄則だと断言できるのだ。
さて『天鵞絨の城塞』名所探訪としゃれこむかな・・・
ついでにお宝探しもね・・・・・
むしろ手元のお宝を処分できる故買屋質屋でも探しにね・・・
500回記念の思わぬご褒美だった。
俺のせいで哀れにも捕まったままのバネドンのことなど忘れ、浮かれて夜の街に繰りだした。
・・・・・・当然、東めざして直行などしない。
ルッカー通りをのんびり歩いていく。



通過パラグラフ:(14)→345→139→23→  治癒術の効果:+3点   現在の体力点:12点

(つづく)