ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ248→→→パラグラフ177:雀罠:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



角から頭を引っ込めたソウは、にやりと笑いかけた。
「あの金庫室は、見た目ほど堅牢じゃないのさ。俺は一度あの中で捕まったんだから」
「どういうことだ?」
「外につながる隠し通路があるんだよ、間抜けなことに。おっと衛兵は知らないぜ?だから、中に入っちまえばこっちのもんだ」
「装備を奪って悠々と脱出ね」
晴れて自由の身。ようやくロアストーン探索が再開できそうだ。
と、戦いのどさくさで忘れていたことを思いだす。
「そういや約束の一つがまだだぞ、ソウ。バネドンは今どこにいる」
狼の膂力をもってソウの首を死なない程度に絞めあげる。
「……言うったら。魔術師は東門の衛兵宿舎へ連れてかれた。衛兵が喋ってたんだよ」
「東門だと?」
「仲間もいいが自分のことを心配しなって。この通路をどう進むかだ」
邪魔な衛兵をじっと見る……
やがて、とある冒険の記憶を思いだし、一つの計画が頭に浮かんだ。
「その財布を貸せ。任せろ、いい作戦がある」
「え?」
「黙ってろ、兵士を釣りあげる餌がいるんだよ」
ごねるソウから財布を取りあげ、松明の影に身を溶け込ませて通路を迫っていく。
3メートルまで近づいた俺は、床に銀貨を並べながら後ずさりし始めた。
何をしているのかって?
うん、俺にもよく分からない。
ただ無心に、本文のお告げにしたがって体が勝手に動いているだけなのだ。
ルーン銀貨の釣り糸をたらし終えて階段の影に身を潜めた。
待つまでもない。衛兵は銀貨に気づき、少し悩んだが、誘惑に負けたようだった。
一枚、また一枚と拾いながら近づいてくる。 

 
 隠れ場所から殆ど1メートル足らずに近づいたとき、突然、衛兵は君に気づき、応援を 
求めて叫ぼうとした。素早く行動しなければならない。さもなければ、監視塔の衛兵全て 
が集まってきてしまう。 
 



・念波動を身につけていて、プリンシパリンの階級に達していれば、84
・衛兵を剣で攻撃するか。3
・(持っていれば)短剣を投げつけるか。215


「ど、どうするんだロル……」
ソウが叫びきる前にすべては片付いた。
瞬時に念波動の力を撓め、不可視の打撃を衛兵の脳髄へと叩きこむ。
精神攻撃への対処を知らぬ衛兵の瞳が反転する。
意識を『落とされた』衛兵の体はがくがくと震えはじめ、4秒ともたずに昏倒した。
「な、何だ今の……何かの魔術なのか?」
「まあ詳細は言えないがいわゆる魔術じゃあない。触れずに遠くから気絶させる『技』だよ
ソウがぽかんと口を開ける。
感心してるのかと思いきや、奴はショックを受けたような表情だった。




「クラァァァ!!ロルフゥゥゥ!!」
「なッ…なななんだい勢いこんで、盗人よ」
「そんな便利な技持ってんなら、なんで3メートルに近づいたところで衛兵を殺らなかったんだよォォォォ!


しばし、無言。


「……それもそうだよねえ」
「のォォォ――――――――――――――――!!!!!」
俺の銀貨がーとか言いながら、慌てて衛兵の手から零れた金をソウが拾いだす。
まったくだ、君の言い分はもっともだよ。
とんでもない作戦だった。
でもいいのさ、終わりよければ全てよし。
いかんせんこちとら英国人に自動操縦されている身。
どっちみち、本文のお告げにしたがって行動するしかないんだからねえ。
衛兵の体を探り、金庫室の鍵を奪って突進する。
カルト氷砦の最深部で見かけたようなコテコテのデジャブ展開は気にせず、金庫室に走りこみ、内側から閂を下ろす。
これで、ソウの絶叫で異変を知った衛兵たちも一時食い止められるだろう。



通過パラグラフ:(248)→84→165→177 治癒術の効果:+3点   現在の体力点:7点

(つづく)