ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ185→→→パラグラフ316:元締めソウ:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



「やっとこっちを向いてくれたな、北方人」
「……」
「おいおい、怖い顔すンなって。囚人同士だろ、俺ら。協力しようや」
軽口を叩く男を睨みつけたが、男の発言を無視するわけにはいかなかった。
最低限ウソはついていない……カイの感覚がそう教えてくれる。
「奴らがあンたの持物を何処にしまったかも知っているんだ。自由にしてくれよ、な?そうしたら全部教えるから」
「しょうがねーなァ」
カギを外してやると、男は痛めつけられた自分の腕を揉み解し始めた。
「感謝するぜ。俺の名前はソウ、スーエンティナの盗賊ギルドの元締め、盗賊頭だ」
「……ロルフだ」
「よろしくな」
元締めなどと言っている割に、ソウという男には威厳の欠片もなかった。
ついてくるよう合図したソウは俺が入ってきた入口の前を横切り、ドアの陰になっていた背後の壁に近づく。
見れば、そこにも別の扉が施錠されていた。
「この『宿屋』に泊まっていけと誘われたのは今回が二度目でね」
胴着の袖から針金を引きだし、ソウが解錠を始めた。
「その前に『お泊り』したときは予定より滞在を短く切りあげたもんだから、奴ら今度は鎖で繋ぐっていうアイデアを思いついたわけよ」
「・・・・・・」
「ンン?どしたどした?別に話しかけられても作業は乱れないよ、全然オッケー」
よく喋る奴だった。
発言の薄っぺらさときたら裏切り者の評議員チルに勝るとも劣らない。
柔らかい金属音が響き、錠前から針金を外したソウは誇らしげに頬を緩める。
「はッ!なんて簡単な鍵なんだ!そら……」

 
 戸口に立っていたのは、逞しい2人の衛兵だった。 
 


「……簡単なのには訳がある、ってね」


見事なまでのお約束ぶりだった。
こんな間抜けに鍵を任せたことを後悔しつつ、前進して敵の出方を窺う。
兵士らは飯時だったらしい。
手に持っていた旨そうなサラダボウルを床に落とし、剣を引き抜いた。やる気満々だ。
・・・殺る気満々、かもしれない。
「あー……取り敢えずオメーらは黙って床のサラダでも喰ってろ。そうすりゃ殺さないと約束してやる」
「ほざけ、北方人が。大口もこれきりだ」
二人の兵士は肩を怒らせて、大股に扉から踏みこんできた。
「最後の晩飯を喰いそこねて残念だったな。じゃあ死ね」
「舐めるな若僧が」
彼らは間違っている――
友軍だろうが一般人だろうが、この狼が歯向かう者を許したことなど、ただの一度もないのだ。



詰所小屋の衛兵たち  戦闘力点20  体力点26


武器を持っていなければ、戦闘の間、戦闘力点が4点低くなる。
君は一人きりで戦う……ソウは君の体を盾にして背後で竦んでいるからだ。


「使えねーなァ……っとによォ!!」
ソウのチキンぶりにイラっとくるが、今は眼前の脅威を排除することの方が先決だった。
脱獄したばかりの俺はただの素手。向こうもそう思ったのか、余裕で進み出てくる。
だが、奴らは俺を過小評価している。
戦闘力は4点減って15点だが、そこに念撃の+2が加わり、戦闘比は−3まで回復するのだ。
きつい……だが、突破不可能な数値ではない。
軽く指を鳴らしつつ進みでて、敵の間合いに踏みこみ、必殺の虎拳を放つ。
不利な戦いでは初撃の勢いこそが肝心なのだ。
……その一撃目、乱数は「5」。
硬直しかけたが、マイナス3の領域ではこれでも僅かに狼の与えるダメージが大きい。
そのまま「7、9」と痛撃を食らわせてやる。
だが、再び「2」などという悪運が飛びだし、大ファンブルかました。
足を滑らせたところを剣尖で抉られ、ごっそり5点の深傷を負う。
「だ、大丈夫か北方人!?」
「大丈夫かと思うならテメーも戦え!」
毒づいては見たが、この時点で敵は残り体力3点、こっちは残り4点だ。
続く一打、会心「0」を叩きだし、無傷のクリティカルを……


――秘 奥 義 ・ サ イ コ ロ 交 換 : 発 動 ――


「何!?」
この時、ドゥームオオカミ乗りとの戦闘で残されていた因果が発動した。



通過パラグラフ:(185)→314(戦闘) 治癒術の効果:0点   現在の体力点:15点

(つづく)