ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ148:死線越えて:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



落馬した地上でバシュナのナイフ を構え待ち受ける。
最初の2回戦が勝負だった。
彼我の体力差を考えれば、毎ターン2点づつ体力を消耗する念波動を使うのは危うい。
万が一厳しい攻撃をもらった場合は、ゲームブック業でフォローするのだ。



6人のドゥームオオカミ乗りたち 戦闘力点38 体力点56


ダークロードの傀儡である邪悪な6頭の騎兵が殺到し……隘路の中央で激突した。
渾身の殺意を滾らせた一撃目は、「9」だッ!
限りなくクリティカルに近い結果にほくそえみ、怯んだ敵に追撃を仕掛けていく。
2撃目も「7」と上々の結果だ。
やはり最後に運を呼びこむのは生存への意思。即死もありえた最初の2回戦を、抜群の反撃で切り返したのだ。
獰悪に牙を剥き、戦闘結果表でダメージを弾きだす。






戦慄は、遅れてやってきた。
戦闘結果表。双方のダメージを算出する



戦闘比−9における結果:
ドゥームオオカミ乗りたちのダメージ10点。
そして・・・カイ・マスターの喰らったダメージ:8点


「……馬鹿な」
ありえないことに、この戦闘領域においては乱数表「7」で敵のダメージが狼の一撃を上回るのだ。
会心の一撃を加えた次の瞬間、カイ・マントが無数の裂傷を受け、鮮血が溢れだす。
何という……
恐怖……
ダメージを確認したせいで当初の勢いが殺がれたのか。
戦闘比が−7まで戻った3ターン目、あろうことか「5」を出してしまう。
これで両者互角、双方13点のダメージだ。
無論、互角であるということは、20点も体力の劣る狼にとって敗北は不可避だということなのだ。
勢いに飲まれてはいけない。
流れは運であり、拙速は死をもたらす。
集中し、勘を研ぎ澄ませ、バシュナのナイフ から青い焔を燃え上がらせた。
そうとも。
ダークロードの雑兵を始末するのはこの俺ではない。
貴様らを誅するのは、己が崇めたたえる主、ダークロード・バシュナの怨嗟なのだ。
「主ともどもダジャーンへ堕ちるがいいッ!!」
絶叫し、覚悟を奮い立たせて陣形を崩すべく、三度斬りこんでいく。



乗馬の下をかいくぐって抜群のダメージ8点を喰らわす(乱数表0)。
ドゥームオオカミの牙で4点の痛手を負いつつもそれを上回る一撃を加え(乱数表7)、
長剣であごを斬られながらも一人の首を刎ね落とした(乱数表9)。
ずるずると一進一退の競り合いがつづき(乱数表7)、
ともどもにダメージが累積していく(乱数表7)。
体力のある分、敵は余裕をもってカイ・マスターに肉薄しうる(乱数表8)――


恐らくは過去最長であろう9回戦を終え、大きく距離をとって跳び退った。
返り血と自らの血で朱に染まり、隘路には4体のドゥームオオカミ乗りが屍となって斃れ臥す。
やはり56点の体力が恐るべきアドバンテージを敵に与えていた。
7や8を続けざまに繰りだしたにもかかわらず、一回戦ごとに与えあうダメージは殆ど同じなのだ。
畢竟、戦いが長引くことで狼は死の顎へ追いつめられていく。
「だが、それは貴様らも同じだ、違うか?」
「ガズ・コア・ゼゴー、ダーグ!」
殺意を剥き出しに喚きたてるジャーク兵もまた、その数を減じ、疲弊していた。
この時点で敵のダメージは49点。
あと7点でドゥームオオカミ乗りを殲滅できるところまで、俺は辿り着いたのだ。
だが……
絶望を悟られまいとして、流れだす血をぬぐう。
この時点で、狼の体力は残りわずか 1 点 にすぎなかった。
次の一手……無傷でダメージを与えうる目はただ一つ、乱数表の「0」を出しクリティカルで一閃することのみ!
無論、俺にはまだ、温存した「奥の手」がある。
ラウンスパーは一本残されている。
4巻の裏切り者貴族バラカの時と同じように、ゲームブック業が使えるのだ。
だが、マッケンゴーグとここタホウ丘陵では決定的な違いがあった。
戦闘前の俺は体力点31点。
あの時ラウンスパーを使い切っていたとしても、最大値が33点のため、あと2点しか増やせないのだ。
上の結果表を見れば一目瞭然。
「9」か「0」を出さない限り、俺は死を免れず、9を出した場合は更に次で「0」を出すしかないのだ。



生存への道、僅か11パーセント。
これを多いと見るか、少ないと見るか……
しとどに冷汗が流れ落ちる。
ここが死域。
決められるか。
いや、決めなければならない。さもなければ終わってしまう。
次の一閃で完璧な数字を叩きだし、押し通ることがこの狼にできるのか・・・・・・

(つづく)