ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ103→→→パラグラフ34:RYAKUDATSUすること狼の如く:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



チューダス河沿いの川縁を慎重に近づいていく。
村は寂れきっていた。
まるで着のみ着のまま村人たちが逃げ去ったかの様に村全体が廃墟となり、何もかもが残されている。
緊張を緩めず通りを進んでいき……

 
 窓の鎧戸が微風でバタンバタンと鳴り、錆びた看板が倉庫の梁から鎖で 
垂れ下がり、飢えた鼠のような音を立ててキーキー鳴く――だが、こうした音が耳に 
ついていたのは、君が丸石の敷かれた波止場へ続く細い道を慎重に通り抜けていくまで 
の間だった。 
 角に辿り着いた君は、道端に馬を止め、気配を消して立ち止まる。 
 聞こえてきたのは、ジャークの兵士の耳障りな声だ。 
 


「何だ。またシダラの村じゃあねーの」
とんだ肩透かしだった。あれだけ脅かしといてこう来るか。
この先に待ってるのは間抜けなジャーク2人と適当なお宝のみ。別に強敵も新展開もない。
「まあいいや、バネドンはここで待機ね」
「何をする気だ?」
「略奪」
牙を剥きだして嗤い、ナイフの鞘を払って村の広場へ進み出ていく。
案の定クラーンが積載量オーバーで墜落し、ジャーク2匹が俺の足元に転がってきた。
前は曲がりなりにも用心して弓を使ったが、今回はその矢1本さえ惜しい。
黄色い目を仰天させ、必死に武器をまさぐる雑魚を強襲する。



ジャークの斥候たち 戦闘力点15  体力点20
2人を一つの敵として戦え。
君の攻撃に驚いているため、最初の二回戦の間、君が失う体力点は無視できる。



「ふンごるァァァァァ!!」と咆哮しつつ、蒼い焔をあげるバシュナのナイフを引き抜いて走り寄り(乱数表8)――
二度目の乱数表を振りかけたとき、敵は既に気死していた――


何せ敵はジャーク2匹、しかも武器無し。
戦闘比+11以上のカテゴリに埋もれる屑の中の屑だ。
戦闘結果表の表記は「K」―― すなわち一撃死。
分かっちゃいたが冷たい刃を食らわす暇もなく、カイ・マスターの殺る気で恐怖の余り死んでしまいまった。
当然、狼は無傷だ。
「酷いね。天下のカイ・マスターが弱い者虐めだ」
「お百姓相手に火事場泥棒していたジャークよりマシだろうよ」
「戦闘力5……このゴミめが!」
「…………いや実際5点くらいじゃあないか?マグナマンド世界のお百姓は」
いずれにせよ弱い奴が悪い。
己が牙と生存本能に秀でたものだけが生き延びる。マグナマンドはそういう世界だ。
一応ジャークらの略奪品を漁った。
要らないかなァとは思いつつ、それでも銀の燭台 銀のゴブレット を頂く。
一度目は宝の持ち腐れだったが、タホウでの選択如何ではこんなガラクタも売れるかも知れない。
あとは何も起きず、シャディの村で一泊することとなった。
主人のギュークに宿代として12ルーン、金貨3枚 を払う。
さて――
「征くのか、ローン・ウルフ」
「ああ」
バネドンとともに椅子を蹴り飛ばして立つ。
無論行き先は一つ。
豪華賞品多数…を賭けている博打のテーブルだ。
近づくと、二人の息子を連れた男が、地元の百姓らを相手取って圧勝している様子だった。
思わず狼の笑みが漏れる。
腕の見せ所、金貨の増えどころ……という訳だ。

(つづく)