ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ180→→→パラグラフ100:怪異の顎:(死亡・12)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



怯えて馬が棹立ちになるのを、熟練の手並みと動物コントロールでどうにか押さえ込む。
「畜生、ローン・ウルフ、何をやったんだ!!」
「何って、別に……」
「嘘こくでねー!あの隠者からは善良な心を感じたぞ!何をやらかしたんだ?」
「いや、その……小屋からロープ を失敬したぐらいで」
「また手癖の悪さが出たのかよ!」
お前なんか緊縛魔法の素敵エナジーで網焼きにされてしまえと怒鳴るバネドン。
おお。
そんな、本気で怒らんでも……ねえ?
つーか隠者の心が狭すぎるのだ。
たかがロープ 一本盗られたぐらいで人を怪物に喰わせようとするか普通!?
それ以上の会話は、怪物の咆哮によって途絶された。




パラグラフ129――イラスト8



 洞窟の最深部で、ぼんやり光っていた存在が影とともに忍びより、その姿を現した。節くれ立って甲冑めいた厚い胸板が樽のようにがっしりした胸を覆い、盛り上がった額のすぐ下で、切れこみの入った瞼のない瞳がぞっとする光で君を睨み付ける。
 速度をあげた生き物が襲いかかろうと構えると、牙の並んだ口腔からゴロゴロと低い咆哮が流れだした。


ケイブ・リーコン  戦闘力点27  体力点38
この生き物に念撃は通用しない(念波動は通用する)。
動物コントロールを身につけていなければ、戦いの間、君の戦闘力点は2点減らされる。


戦闘力27。確かに恐るべき敵だろうよ……並みの戦士ならな。
与し易い獲物だと思いこんでか、涎を垂らし、自前の甲冑に身を包んだ怪異が足を踏みだす。
「俺の間合いに不用意に入るその甘さ……後悔させてやるぜ」
いまや隠者に嵌められた恨みは激怒に転じていた。
憤怒がカイ・マスターの力となり、太陽の剣に流れ込んでいく。
闇を嘗め尽くす焔が刀身から燃えあがり、臆することなく俺は馬首を突撃させた。
念波動を使う必要さえ無い。
この太陽の剣を手にした狼に敗北は無い。
戦闘比+4、田舎の怪物ごときを相手にするには十分すぎる。
剣を(ペンを)握る手を閃かせ、立て続けに乱数表を指す。





死んだケイブ・リーコンから、夥しい血が溢れ出した。
怪異の放つ臭気と咆哮におびえる馬を完全に御し、5ターンに及ぶ戦闘に止めを刺した。
二度ファンブルし、ダメージは11点
予想外に手間取ったが、殺戮の衝動は存分に発散した。治癒術を持ってすれば、痛手のうちにも入らない。
怪物の血臭を嗅ぎ、狂騒した馬が後脚立ちになった。
跳躍一閃、怪異の屍骸を飛び越す。
……危うく天井で頭を摩り下ろすところだった。
ぴったり後をついてくるバネドンを確認し―― 魔術師とは思えぬ馬術に内心で舌を巻きながら―― 一気に走りだす。
窒息しそうな地底の通廊は唐突に終わりを告げ、夕方の肌寒い大気に飛びだした。
どうやら、他の怪物共を呼び寄せることなく逃げきったらしい。
眼前には丘陵の内懐、タホウ平野が広がっていた。
この3キロにも及ぶ肥沃な穀倉地帯は首都を取り巻く堀の縁から水を引き、首都を守る内陣にあたると同時に重要な食糧庫でもある。
だが今では、戦争に備えて農民は避難したあとで、人気はなかった。
灌木の茂る丘をくだり、無人のバータ村を通り抜ける。
馬の歩みが遅くなり、目を見張って地平を見やる。


麗しのタホウ……マグナマンド最古の都市が、その威容を現した。


通過パラグラフ:129(戦闘)→169→100 治癒術の効果:+2点   現在の体力点:20点

(つづく)