ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ213→→→パラグラフ265:狼と無人の小屋:(死亡・12)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



マグナマンド最古の都市、アナーリの首都タホウを目前に控えたタホウ丘陵の入り口で示された選択肢。



・方向認知術を身につけていて、チュータリーの階級に達していれば160へ。
・方向認知術を身につけていないか、チュータリーに達していなければ314へ。


どう見ても待ち伏せです。本当にありが(ry
こう呟いて前のめりのままのまま罠に腰まで浸かるのが8巻までの狼だった。しかし、今宵の狼は一味違う。
練達の狼は待ち伏せを回避出来るのか?
(罠を罠と見抜いて)探索を進めることが出来るのか?
出来る!
出来るのだ!!
ひりひりと肌を震わす、お馴染みの危機の感覚。
間違いない―― 監視塔と一群の小屋は、既に敵の手に陥ちている。
息せき切ってバネドンにこの事実を告げる。

 
 しかし、丘陵を抜けていく隘路は次第に迫る夕暮れのために暗く、バネドンはこの居留地 
が荒れ果てているということ以外には、何一つ変わった兆候を見つけられない。 
……(中略)…… 
「仮に、道に迷わずにすむとしても、夕暮れ前にタホウ市に辿り着ければ幸運だろう」 
 


反応、薄ッ!!


この能天気ぶりに、あわや盟友のこめかみに剣指を突き立て、錐の如く抉り抜くところであった。
お前に見える訳ねーだろーが!
極まったカイ・マスターのみ知りうるサバイバル能力なんだっつーの!
「よく考えろ、先刻軍曹が待ち伏せの可能性を話してたろ!ここは既に戦場なのよ?」
「あ、ああ……分かっ」
「いーや分かってねー。全然ワカってねー。大事なのは、これが儲からない待ち伏せだってことなんだよ!」
「は……へェッ?」
つまりだ。
待ち伏せた敵を倒したところでたっぷり報酬(ゲイン)が得られるシーンと、ただ突破口を切り開くだけの戦闘とがある訳だ。
大事なのは創造神の意図を読むことなんだよッ!!
作者VSプレイヤーの徒手格闘(ステゴロ)一騎打ちなんですよッッ!
英国人的発想でここを見たとき、報酬をくれてやる気になるかどうかだ・・・
俺の答えはノー。ノーノノノ(紅茶を頂きつつ)。
何故なら、ここは先を急ぐべき時であり、間近に敵の大軍が迫りつつある局面であるからだ。
そんなときに身包み剥がして金目を漁るような真似を許す作者かどうか。
「……ありえんな。ぶっちゃけ400%ありえないと断言しよう」
「よく分からんが、ローン・ウルフの強い意志は伝わったとも」
ということで監視塔から見えぬよう後ずさり、丘陵を迂回していくことにする。
道なき道を馬の蹄鉄で踏みしめ、他の道を探す。
北への抜け道になりそうな峡谷のとば口にたどりついたとき、既にたっぷり一時間がすぎていた。
完全な時間切れだった。とうに夜の静寂が俺とバネドンを包んでいる。
干上がった水路にそって馬を乗り入れ、褪せた石組みの監視塔の間を縫うように1.5キロほども曲がりくねって進んでいく。


道が急斜面となって丘へ登りだすころ、峡谷に張りだすよう建てられた石の小屋を目撃する。
窓には灯りがともり、煙突からは煙が。
選択肢は小屋に寄るか寄らないか―― 逆説的に言えば、危険や待ち伏せはないということだ。
小屋を覗くことに決め、バネドンに手綱をまかせて馬からひらりと下りる。
念のためソマースウォード の先で扉を押し開けるが、小屋は空だった。
テーブルや椅子など最低限の家具が置かれた程度で、暖炉には赤々と炎が爆ぜ、真新しい薪の上でシチュー鍋がぐつぐつと音をたてる。
なお申し添えれば、このシチューも先日のゴーカスの糞燃料で煮立てたスープと大差ないスメルだった。
……どうでもいいことだが。


「いる筈の住人がいない、ということか」


思わずひとりごちる。
マグナカイの予知の選択肢もあったが、身につけていない以上知りようもない。あとは家捜しするか出るかだ。
いつもながらの狼―― むしろハイエナと呼ぶべきか―― の習性に任せ、徹底的に荒らしきる。
見つかったものは僅かだ。
櫛、ロープ、カンテラ、毛布 。まあ、要するに日用品のみ。
やれやれ……などと言いつつ、徒労に終わるのが癪だったのでロープ を入手する。
かわりに邪魔だったボザの入ったビン1本 を捨てた。
ロープ の方が役に立つだろうからな。
出て行きかけたそのとき、暖炉の近くに落とし戸があるのに気がついた。


人気のない部屋。
つい先程まで誰かいたかのような生活臭。
そして、閉ざされた落とし戸。


……急速に警戒レベルが高まっていく。
(つづく)