ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ268→→→パラグラフ156:狼式軍隊教育論:(死亡・12)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



さて、いよいよ夜のお楽しみだ。
マグナマンドの宿といえばこいつが欠かせない。
各地で行われる賭け事、謎解き、そして金貨袋のダブルアップ
いやいや、ストーンランドでは賭けでいい目を見させてもらったしねえ。
卑しい眼をして、賭け真っ最中の連中へ、躙り寄ろうと・・・



・食事を注文しようと思ったのなら、88へ。
・もう部屋へ下がろうと決めたのなら、156へ。




「罠、だ」
またしても、であった。
ギュークと実り多い話をしている間に、賭けをしていた人々は部屋に戻ってしまったらしい。
選択肢がごっそり削れていた。
「ムゥーン」
流石に1日2度もブチ切れるのは燃費が悪いのでしないが、ちょっとブルーだ。
わざわざゲームブック業を使って巻き戻すほどの展開でもなかろうしな。
仕方なく飯を注文する。


 給仕の少女(!)がやってきて、君たちを隣の部屋へと案内した。
 部屋の中は、開いた炭火から螺旋を描いて天井までたちのぼる煙の刺激的
な香りで一杯に満たされている。
 樫の円卓の席に着くと、少女(!!)は料理の大皿を二枚持ってきた。
 大皿には、よく炙られたゴーカスのステーキと、シロニンジンのソテーが
盛りつけられている。エールのジョッキ2つはこの御馳走を平らげるのに
役立ち、上機嫌になったバネドンは銀のルーン12枚でこの豪華な食事のお代
をぽんと支払う。


「……」
少女少女(!!!)って・・・普通に女給ぐらいで良いと思うんですがね?
ここを訳したのは誰か丸わかりなのであった。
まあ殺伐としたマグナマンド世界では割と稀有なシーンかもなと思いつつ、旧友との食事を楽しんだ。
体力もここで完全に取り戻す らしい。
まあ取り戻す以前に、負傷ひとつ負わない鋼鉄の肉体なのだが。
ぶっちゃけ戦闘が微温いだけとも言う。
9巻以降は素ン晴らしい難度だと聞いていたのだが、あれは俺を動揺させるためのブラフだったのだろうか……?
寝室は実に快適で、熟睡できた。
翌朝、脳に響くベルの音色で叩き起こされる。
やけに近いので窓から見下ろすと、ギュークの女房がカチ割らんばかりの勢いで手鐘を鳴らして中庭をねり歩いていた。
「夜明けよォォォーッ!!!」


 彼女は金切り声で叫び、その声は手鐘に負けないぐらい耳を劈く。


……気づくとデュアドンの弓を構えていたので慌てて下ろす。
こんなところで矢を無駄にしたくはない。
何年たっても、この狼の短気だけは治りそうになかった。
厩では既にバネドンが出立の準備を整えて俺を待っていた。
なかなかに甲斐甲斐しい働きぶりだ。
「お早うローン・ウルフ。早起きはいつもの事でね。君のために準備してた訳じゃないんだ。あまり気にしないでくれたまえ」
「ああ知っている。大体今じゃバネドンは俺の部下だしな。当然の勤めというものだろう?」
「・・・・・・」
「まあ俺、ソマーランド軍の元帥だし。でも良いよ。古くからの仲だから、タメ語の会話を許してやるよ」
無言の友人を完全無視しつつ、颯爽と白馬に跨った。
いい加減、これだけ平和だとダークロードが迫りつつあることなど忘れてしまいそうだ。
気を引き締め、旅路を急ぐ。
雲ひとつなく晴れ渡った空のもと馬を走らせ、昼過ぎには街道の周囲に石柱が立ち並ぶフェアの村まで辿り着く。
街道の前方、地平のあたりに土埃を目にしたのは、このときだった。

(つづく)