ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【「マグナカイ」アドベンチャー(邦訳)完結記念トーク・前編:(死亡・12)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。


遂にこの日がやって参りまった。
全8巻クリア記念と称して、前編はダラーリダラーリと適当に喋りつつ、後編は狼の成長にスポットを当てたいと思います。


朕「ようやく長きに渡るマグナカイアドベンチャーが完結した訳ですが…」
B「巫山ッ戯んな!何処の少年誌の13週打ち切りだよ!」
朕「……まあ典型的な『俺たちの戦いはこれからだ』ENDですが」
B「ときにペイドは死んでるよな?未訳分には所謂いい顔で天に昇っていくシーンとかあると思う」
朕「喧しい」


怒涛の溜めと伏線を張っておいて頓死なされた日本語版マグナカイ・アドベンチャー
とは言えHJ社の発行した既刊3冊分でも、長期にわたる展開を見越した物語作りなど見るべきところは多いでしょう。


朕「実際、デバー御大も気が長いよね。前半5作品の伏線がようやく生きてくるあたり」
B「6巻、星見の賢者グウィニアンとかな」
朕「初登場した4巻から、先を見越して物語を構築していたってことだからね」
B「殺人飲料ボアビールの驚異もだぜ……8巻じゃクレバーに逃げやがって。あそこで幻覚見ると超面白かったのに」
朕「……運が良かったんだよ。でもあの乱数表チェックも、カイ・マスターの方が成功しやすいんだよね。成長の証ってことで」
B「単に酒癖が悪化しただけじゃね?」
朕「リアル話はどうでもいいじゃない」


マグナカイ以降、飛躍的に広がった世界もローン・ウルフの特徴でした。
登場する些細なアイテムの出自が巻頭のマップから見えたりと細かい芸も多く、次々に広がる見知らぬ地での冒険譚が読者を飽きさせなかったのです。



B「80年代から始まったブーム当時、英国で一番最後まで刊行され続けたGBがローン・ウルフシリーズなんだぜ……って、ばっちゃが言ってた
朕「そこ伝聞なんだ……」
B「けど実際、一人の主人公で20冊、シリーズトータルで28冊というゲームブック作品は後にも先にもローン・ウルフのみなんだから」
朕「まさしく空前絶後のヒット作だった訳だね。日本での知名度は低いけど」
B「仮にもゲームブック界の重鎮を自称するお歴々が、ローン・ウルフを未プレイとはぶっちゃけなんというザ・無様」
朕「アーサイファサイファイ。ディスはその辺で終わり。他人様の趣味嗜好なんぞ朕の知ったことじゃあないしね」


他の作品に比して特に入手困難なローン・ウルフシリーズ。
この辺の事情も、このシリーズの敷居を上げている一因なのでしょう。
出版社様各位には是非復刊を検討して貰いたいものです。


朕「でも実際、物語のバランスもいいよマグナカイは。6、8巻がオープンフィールド、7巻はダンジョンアドベンチャー。毎回飽きさせない良い作りだ」
B「白眉が6巻で、ある意味完成の極地なんだよな」
朕「展開も自由度が高い割りに物語が二転三転するからね」
B「個人的には8巻は冗長過ぎる。嫌いじゃあないが、意外に密林の探索行が短いのもマイナスだ」
朕「『教えの向上』の導入によって、巻が進む程1シーンごとの選択肢が増えるんだよね」
B「ぶっちゃけ中盤のザーロの剣の寺院で100パラグラフぐらい費やしているんだよな」
朕「……成程。分岐が多い分、進行ルートは短くなる訳ですか」


物語の自由度と密度のアンビヴァレンツ。
ローン・ウルフシリーズは各巻350パラグラフに物語を収めるため、様々な工夫が凝らされています。
プレイヤーの成長度合いに応じた多様な展開も、その特徴の一つと言えるでしょう。


(つづく)