ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

ダナーグの黄昏

【パラグラフ287→→→169:残映の狼:(死亡・12)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。


「この期に及んで伏兵だと!舐めてんのかッ!」
傭兵言葉で短く罵り、バケロスの戦士がレビトロンの舵輪から手を離す。
恐らくダークロード・ナーグはオライド寺院の所在を突き止めていたばかりか、レビトロンの存在まで知っていたのだろう。
であれば先手を打って破壊しに来ればよさそうなものだが、オライド寺院の霊性は闇の半神や不死者の存在を拒む。
だが黒魔術師や雑兵をダナーグに送り込んだところで、沼の怪物たちの餌食になるのは目に見えている。
そこで俺たちがロアストーン奪取後、飛行手段――レビトロンを利用すると踏んで、雲間にクラーンの編隊を配したという訳だ。
「ダークロードの最後の足掻きだろうが……せいぜい気を抜くなよ相棒」
「貴様にその言葉そっくり返してやるぜ……狼ッ!」
残照の中、レビトロンめがけクラーンの編隊が黒い矢となって迫りくる。
ボルダクが次々に放つ蒼い焔を黄金の剣尖で逸らし、眼下のダナーグへ雨のように降らせる。
船体にダメージこそないが、攻撃は熾烈を極めた。
クラーンが更に2頭接近し、飛行船の船首付近を旋回する。
ボルダクたちは一斉に甲板に飛び降り、魔力の杖をかざして船を破壊し始めた。
「止めさせろ!」
バケロスの蒼い剣を抜いてペイドが叫ぶ。
「さもないと俺たちも道連れになるぞ!」
船首から飛び降り、正甲板を疾駆する――



ボルダク一  戦闘力点22 体力点28
ボルダク二  戦闘力点21 体力点26

二人を一つの敵として戦わなければならない。
彼らに念撃は通用しない(念波動は通用する)。
念バリアを身に着けていなければ、戦闘の間、
君の戦闘力点は2点少なくなる。
彼らは不死身なので、ソマースウォードの威力により、
敵が失う体力点は通常の二倍になることを忘れずに。


戦闘比はそれぞれ+10と+11以上。
ここでは同時に攻撃しあい、2方向から同時にダメージを喰らうのだが……。
乱数表は「2」――低い跳躍から擦れ違い様に超高速の数合を打ち込み、不安定な甲板を転がって着地する。
「7」――ボルダク2人に振り返る暇も与えず、逆袈裟に斬り上げた刀でもう一方を袈裟に斬っていた。


左右から3点づつの掠り傷――計6点。 上出来の部類だろう。
塵芥へと帰っていくボルダクの残骸を踏みつけて振り返る。
紅衣の不死者たちは続々と甲板に降り、ペイドを取り囲んでいた。
圧倒的な数の不利にもかかわらず、ペイドは猛然と敵の武器を薙ぎ払っている。
善の魔法を帯びた蒼い剣がボルダクを貫き、無に返していく。
急ぎ加勢のため正甲板を駆け戻る――そのとき、空を舞うクラーンたちの動きが変化した。
船体を掠めるように急降下し、黒水晶の立方体 を甲板にバラ撒きだす。



予知を身に着けていれば、319へ。
念波動を身に着けていて、マグナカイの階級のプライメイトに達していれば、25へ。
予知も念波動も身に着けていなければ、243へ。


俺は念波動を身に着けたカイ・マスター・チュータリーだが――
この黒水晶の立方体――以前に見覚えがあるぞッ!
ヘルジェダド御用達のこの立方体は自ら振動を発し、クラーンの鳴き声にも似たその振動が高まると、激しい爆発を起こすという性質がある。
かつて砂漠の帝国バサゴニアでの探索行において、ダークロードはこの立方体の性質を利用し、執拗に俺を追撃したのだ。
幾つもバラ撒かれた立方体の一つでもレビトロンの内壁に穴を開ければ――
充填された液体燃料が発火し、空中で俺たちもろともレビトロンは巨大な火達磨と化すだろう。



水晶の立方体を集めて船の外へ投げるか、50へ。
まず、ペイドを助けて敵と戦うか。169へ。


苛酷な選択肢が畳み掛けられる。
息もつかせぬ展開。
まさにこの瞬間、俺のカイ・マスターとしての経験値が、真の覚悟が、試されている――ッ!



通過パラグラフ:287(戦闘)→79→25→  治癒術の効果:+2点   現在の体力点:25点

(つづく)