ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

ダナーグの遠景

【パラグラフ192→→→177:ぼくはきれいな狼:(死亡・12)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。


ペイドの応急手当を手早く済ませる。
「カァーッ………ペッッ!!!」
「ウホッ!汚えな!」
ペイドは俺の吐いた消毒液を仰け反って避け、抜刀の構えを見せた。
「避けるな!治療が出来んだろうが!」
「舐めてんのかヴォケッ!そんなんだったら自分でやるっつー話だッ!」
「バッカオメー、カイ戦士の唾液にはものっそい抗菌効果があるんだよ!」
「な…何だってー!」
「ちなみに滋養強壮どころか美肌効果にダイエット、虫歯予防まで幅広い効能があると言われている」
「そうだったのか…ある意味天然素材だから体にも優しい…小さなお子さまにも安心してオススメ出来るという訳だな!」


茶番もそこそこに、更に沼地の奥深くへと分け入っていく。
やがて、踝まで埋まる軟泥が徐々に固い地面に変わり、間もなく澄んだ池の畔に出た。
池に覆い被さるように生えた、血のように赤い実をつけた木の近くで小休止する。
ペイドが近くの高木に登り、地平線を見ている。
手にしているのは古マギが造り出した自動誘導装置、スターガイダーだ。
本来は夜間でも飛行船を操縦するための装置だが、特定の水晶の震動に反応する性質を持っている。
失われたオライド寺院の水晶の尖塔――震動を探知した方向がそのまま俺たちの進路になる。
広大な樹海の中から目的地を見つけ出すには、打って付けの代物なのだ。
ペイドがスターガイダーを操作する間、周囲を探索することにする。



赤い実を調べるか。301へ。
綺麗な池を調べるか。2へ。
座り込んで、ペイドの調査が終わるのを待つか。177へ。


赤い実はあからさまに怪しい。
とても美味しそうですネ……猛毒でしたァーッ!という英国式強制イベントの予感がする。
そう言う訳で池の方を調べる――



池の水はとても綺麗で新鮮そうなので、顔や手にこびり付いた沼の泥を洗い流したい誘惑に駆られる。


池の水を浴びるか。315へ。
池の水を無視して、ペイドを待つか。177へ。
念バリアを身に着けていれば、116へ。


ぶっちゃけ池もこれまた滅茶苦茶怪しかった。
うっかり入ろうものなら、王子タイツに南瓜パンツなんぞを着せられ白塗りの俺を連れた女神様が登場すること請け合いだ。
空気を読めぬ相棒のこと、女神様に「あなたが落としたのはこれですか?」と聞かれれば「もっと汚いの」と正直に答えてしまうだろう。
憐れ汚い方の俺は永遠に水底の囚人――と言う訳だ。
幸いマグナカイの念バリアを身につけているため、ここは強制展開となっている。
教えの力を駆使し、真実を見定める――


この『池』は蜘蛛の糸で構成された薄膜だ――光を反射する性質から、不注意な獲物には水面のように見えるのだ。
半透過性の鏡のように機能する『池』の底に、捕食者が潜んでいるのを突き止めるのは、ほぼ不可能に近い。
底無し沼とかそんなレベルじゃあない。
この『池』が、既に捕食者の一部なのだ……

ソマースウォード を抜き、黄金の刀身を『池』の中心にゆっくりと降ろしていく。
すると『池』の縁が内側へと捲れ、透明な紗幕が剣尖を包み込んだ。
『池』の底に隠れていたのは鶏卵めいた殻に覆われた生物――
小さな孔から蛇の尾を思わせる触手が延び、俺の手首を捕らえようとする。
この展開……6巻の地獄穴で、同じような死亡フラグが立っていなかっただろうか……


太陽の剣が俺の意志に応え、灼熱の焔を纏う。
触手が萎び、次いで消し炭と化すまでにさして時間はかからなかった。
弾力ある紗幕をついに突破し、剣が生き物の殻を貫通する。
不意に、破裂音をあげて殻が弾け飛んだ。
耳にこびりつく異音を轟かせ、周囲にあった塵芥ごと渦の中心へと引きずり込む。
『池』のあった空間に異臭が立ち籠め、後退って刀身に付着した残骸が燃え尽きるに任せる。



通過パラグラフ:192→2→116→214→235→177 治癒術の効果:+4点 現在の体力点:29点(上限)


(つづく)