ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

ダナーグの火口

【パラグラフ91→→→138:ダナーグ:(死亡・12)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



オキシデン・チンキかエデの薬草が欲しければ、237へ。
どちらも必要なければ、91へ。



昏さを増す密林のなか立ち止まる。
オキシデン・チンキなら預言者タディアから入手済みだが……
とりあえずパラグラフ237へ飛ぶ。

 
血液中の致命的なコロバクス菌の量がおさえきれないほど増えた…… 
(中略)……ペイドがすぐ駆け寄って……(中略)…… 
胸が万力で締め上げられているかのように痛み、呼吸ができなくなり…… 
二度と目覚めぬ眠りだった。 

君の命と探索の旅はここで終わる。 
 


「・・・・・・」

 
君の命と探索の旅はここで終わる。 
 


「・・・・・・・・・・・・何ですと?」
気づけば馬から転げ落ち、地を這う濃霧の中から空を見上げている俺。
コロバクス菌て何よ?
何の前触れもなく急に「血中の……」って何の話??
意味不明な超展開に茫然自失していると、ペイドが俺の頭を殴った。
「何故お前が死んでいるんだよこの弱凡」
「いや……本文にそう書いてあるし……」
「お前がいやしんぼなだけで、このパラグラフはデバー御大のミスなんだよ」
いつの間にか額に『殺』の文字を書いたペイドが解説する。
曰く、ここは別のシーンでコロバクス菌に感染した者だけが通過するパラグラフだということ。
感染せず、ゲームブック業も使っていない俺が死ぬのは誤読ということ。
作者であるデバー御大(あるいは訳者)の表記が下手なため、薬草欲しさに俺のような阿呆が引っ掛かるということ。
「そう言う訳ですんで生き返れ」
「アオオー!」
胸板に強烈な蹴りを叩き込まれ、辺境地獄から不死鳥のごとく甦る。
即死エンドは無かったことになり、冒険再開。


黄昏が近づいていた。
「エデの薬草欲しいですか」って聞かれたら、10人が10人欲しいって言うだろ…常識的に考えて…
愚痴りつつモードリルの森を進み、ようやく霧のかかっていない乾いた地面を見つける――開拓地の跡だ。
黒い葉陰から色褪せた月光が差し込み、何処からか鳥が不吉な叫びを上げ、静寂を破った。
羽音とともに、夜陰に紛れて鳥は飛び去っていった。
本格的にダナーグへ入る前に、ここで小休止しようと座り込む。
ペイドが懐を探り、金貨を取り出す。
「表か裏か?」
どちらが先に見張り番をするか決めようという訳だ。



「表」と言うか。274へ。
「裏」と言うか。66へ。
予知を身に着けていれば、11へ。


予知とは……まあ確かに、マグナカイの教えなら金貨の表裏を当てる事など造作も無いだろう。
多少やり過ぎな感は無きにしもあらずだが。
ましてや、ゲームブック業を使ってまで正解を当てる局面ではない。
単純にゲームブッカーの勘で答える――「表、だ」


「そう言う訳なんでお先」
俺は唖然としているペイドを完全放置し、カイ・マントを巻き付けて眠りに落ちていた(体力点を3点取り戻す)。
灰褐色の柔らかい地面は寝心地よく、ザーロの修道院で受けた傷は完全に癒えていた。
「起きろ! 起きろ! 起きろ! マスかきやめ! パンツ上げ!」
4時間後、野太い海兵隊口調で叩き起こされる。
最悪の目覚めに文句の一つも言ってやろうと振り返ると、相棒は既に幸せそうな顔で眠りこけていた。
何事もなく時間が過ぎていき、宵闇が朧気に明るくなった頃、相棒を起こすことにする。
「おい。朝だぞペイド」
「うーん…喧しい死ね……むにゃむにゃ」
「……駄目か。『朝だよお兄ちゃん。もうっ、起きなきゃダメだよ』」
「うぉっ…うぉ弟よウォォっ!」
ペイドは決然とした表情で跳ね起きた。


荒涼とした灰色の木々が果てしなく続く。
時間の感覚が無くなりかけた頃、徐々に傾斜がきつくなり、火山岩が目立つようになってきた。
「ダナーグの火口に近づいてきたようだ」
ペイドの言葉は、かつてエルジアンでリモア卿から学んだマグナマンドの地理史とも符合する。
瘴気の森ダナーグは、巨大な火山帯でもある。
かつての生命溢れる森は、今や業病に冒され、棲んでいたものたちを変容させたのだ。
ちょうど太陽が中天にかかった所で、火口近くに着いた。
モードリルの森にあった真っ直ぐな高木は姿を消し、麓に近づくにつれ、幹が捻れたまま生き腐れた若木が目に付くようになった。
気付かぬうちにモードリルの森を抜け、ダナーグ沼沢地へと足を踏み入れていた、という事か。
地面は踝まで埋まる軟泥へと変わり、丈高い黒藺草が濁った水溜まりの周りに群生している。
捻れた樹皮から棘のある蔓が垂れ下がり、さながら有刺鉄線のように幹に絡みつき、恐るべき力で締め殺しているのだ。
霧雨の中でも消えない木々の腐臭に辟易しつつ1時間程歩き、大きな沼地に出る。
水面が渦巻いているところを見ると、何某かの生物が潜んでいるのだろう。
取り敢えずは沼地を迂回し、南北の何れかに進路を取らねばならない。



ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




方向認知術を身に着けていて、チュータリーの階級に達していれば、203へ。



……つい最近銀山で喰らったばかりの『待ち伏せ』の恐怖が、記憶も新たに甦る。
2つにひとつは、地獄への道行きなのだ――



通過パラグラフ:91→274→138 治癒術の効果:+1点 睡眠による回復:+3点   現在の体力点:29点(上限)

(つづく)