ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ323→→→198:剣の礼拝堂:(死亡・12)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。


絶望しつつも、徒手空拳で跳躍する。
続け様に乱数表を指す――「4」、「3」。
天井を蹴って更に加速、修道僧たちの頸椎や四肢を蹴り砕いたが、いかんせん数が多過ぎる。
盲滅法に突き出される剣が、カイ・マントを貫き、無数の掠り傷を与えていくのだ。
蹌踉めきながらも再び着地した時、残り体力点は僅か 2点 だった。
斬り刻まれ満身創痍の狼に、嘲りの表情を一様に浮かべた修道僧たちの剣尖が一斉に振り下ろされる――


だが。
それでもなお。
死屍累々の等活地獄にあって、壁と床にブチ撒けられた血溜まりの中に最後に立っていたのは――俺だった。
地獄の2ターンをむざむざ生き延びさせ、黄金の牙を剥かせてしまったその刹那、修道僧たちの運命は決していた。
曲がりなりにも神殺し――乱数表は――「0」。
田舎剣法を修めた程度では、「殺し」という行為への理解に天と地の隔たりがあるのだ。


一息つく間もなく、新手の足音と猟犬の吠える声が聞こえてきた。
最早一刻の猶予も無い。
狭いハッチを苦労して潜り、調理場へと逃れる。
剣を構えて周囲を警戒するが、近くに新手が潜んでいる気配は無い。
ペイドを担いで突き当たりの開け放った扉へ移動する。
湯気の立つシチュー鍋の前を通る時、透明な液体の入ったガラス瓶が視界に入った。
カイ・マントの隠しに突っ込み(アクション・チャートに記入)、扉の向こうの廊下を行く。
前方には木製の扉と、上階へ続く階段がある。



扉を開け、中に入るか。340へ。
階段を登るか。157へ。
方向認知術か予知を身に着けていれば、114へ。


生憎俺の選んでいるマグナカイの教えは、その殆どが戦闘向け――どれも先の選択を楽にするものではない。
それはすなわち無敵の能力など無いという証左でもあるが、いずれにせよここでは勘に頼る他は無いのだ。
階段を登りカーテンを潜ると、大きな礼拝堂に入った。
中央の通路を挟んで白木の長椅子が並び、正面に燃える剣のレリーフを刻んだ演壇が据えられている。
ペイドを長椅子に投げ出し、懐から取り出したガラス瓶を調べる。
やはりナダーンの樹液――無味無臭の透明な粘液は、暗殺者御用達の禁制品だ。
致命的な猛毒はこの瞬間にもペイドの全身を駆け巡っており、治療が遅れれば、ペイドが昏睡状態から目覚めることは無い。
階下から修道僧達の走る音と、猟犬の呻り声が聞こえてくる。
再び装備とペイドを抱えて礼拝堂の出口を探す――あるにはあったが、反対側から二重に鍵が掛けられていた。



隠蔽術を身に着けていて、チュータリーの階級に達していれば、67へ。
隠蔽術を身に着けていないか、チュータリーの階級に達していなければ、

 演壇の後ろに隠れるか。96へ。
 長椅子の間に隠れるか。198へ。
 中央の通路に立ち、追っ手を待ち構えるか。305へ。


ちなみに俺は第五階梯――カイ・マスター・チュータリーに達している。
だが問題はそこじゃあない。
マグナカイの奥義の中でも最も使えないと目される隠蔽術。
それが、今まさにこの窮地を斬り開く為に要求されている――


実にレアな展開に狼の中の人も吃驚した訳だが。
まあ持っていないのでそもそもこの選択肢は関係無いし、現実的に対処するしかない。
閑話休題


1.演壇の後ろに隠れる――罠を感知する為のマグナカイの教えは示唆されていないが、その存在は否定できない。
2.追っ手を迎え撃つ――論外の愚策だ。逃げ場の無い通路で、飛び道具を向けられるのはぞっとしない。
ペイドを更に長椅子の奥に押し込み、息を潜め蛇の如く這い進む――



通過パラグラフ:(323)→293→191→157→198 治癒術の効果:+3点   現在の体力点:5点

(つづく)