ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ204→→→238:剣の寺院再び:(死亡・12)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。


そして、またしても見覚えあるパラグラフ204、石畳を敷きつめた中庭へ。
陸路であれ船旅であれ、最初の目的地、辺境の城砦都市ザーロを通過することは避けえない。
それはすなわち、剣の寺院に司祭として潜むヘルガストとの対決が不可避だと言うことでもある。
時間を無駄にせず、剣の寺院の前で馬を降り、石段を登っていく。
ノックに応えて、茶色の長衣を纏った老修道僧が現れた。
「オッス俺ら旅の冒険者。早速だが一晩のご宿泊をご希望」
「あー……兎も角中へ入りなされ」
暫し別れを惜しんでから、別の修道僧にここまでの旅を共にした馬を任せる――何と言っても前回は此処で馬を替える羽目になったのだ。
老修道僧に続き、燻香の甘い臭いが漂う回廊を歩いていく――禿びた赤い蝋燭が並び、辺りを薄暗く照らしている。
階段を降りた先は、松明に照らされた食堂だった。
開いた扉の向こうから、料理の臭いと修道僧たちの声が流れ出してくる。
「どうぞお掛けなされ」
老修道僧が頑丈な樫のテーブルを指した。
「さあ。長旅で疲れたお体が休まり、これからの旅も(ここで終わりを告げるのだから)容易くなるだろうて」
「(このカイ・マスター様を毒殺しようという)もてなしに感謝する」
流石に2度目の探索。
老修道僧の腹の内を読み切った上で、いけしゃあしゃあと会話する。
……ただ一人をのぞいて。

 
別の修道僧がシチューの入った湯気の立つ皿を二つ運んできた。 
彼はそれを君たちの前に置くと祝福の言葉を口にした。 
「ガジ・コグ・ズタグ(悶え死ね)」 
一日じゅう走り続けて腹がすいているので、今食べなければ 体 力 点 を 3 点 失 う。 
 


「生憎だが俺はシチューを喰えないんだ…まあ…その…なんだ」
「なに?」
「えー…そう…つまり…(敵地で毒入りシチューは喰わないという)宗教上の理由があるのだ」
「喰わず嫌いかよ弱凡が。ならお前の分も俺が喰ってやる……せいぜい有り難く思うがいいぜッ!」
行間を読めぬバケロスの戦士。
二人前の毒入りシチューを猛然と掻き込み始めたペイドを横目に、決して美味くはない携帯食糧をモソモソと水無しで喰う。


ざわ……ざわ…………


珍妙な食事風景に修道僧たちが囁き交わす。
修道僧の一人が慌てて食堂を出ていくと、黒衣の司祭――持っている杖までも材質不明だが黒い――を伴って戻ってきた。
「バケロスは食べたのか?」
黒衣の司祭が抑揚の無い声で尋ねた。
「はい、司祭様。しかしカイ戦士は食べないのです……何でも宗教上の理由とかで」
「下がれ。急ぎ他の者たちを呼んでくるのだ」
食堂の扉が閉まり、外から鉄棒を掛けた音がした。
瞬時にペイドが座ったまま反応する。
鍔鳴りと同時に、司祭に青みがかった剣尖を突き付け、猫のような瞳を細める。
このあたりは実に迅速なのだが。
「どうする心算だ?返答によっては………このペイド容赦せん………アオオー!」
なんと力強い咆哮か―― (棒読み)
ペイドが怪鳥音とともに食器を盛大に引っ繰り返し、もんどり打って床に倒れた。
再び椅子落ちキタ――――――(゚∀゚)――――――!!!!!



(つづく)