ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ55→→→89:予言者タディア:(死亡・12)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。


暗い灰色の雲間から陽光が洩れてくる。
フェン河を目指して谷を抜けていくうちに雨は小降りになり、ようやく止んだ。
土手に寄りかかるようにして建つ小屋の前で道が途切れた。
小屋の脇から張り出した古い木の桟橋があり、端の方は水位を増した河にほぼ浸っていた。
小屋の前には年季の入った看板が立てられていた。



船着場
ザーロ行き 此岸の桟橋から乗船
フェナ行き 対岸から乗船
特別許可無き限り、牛、手押し車、馬車、動物の群は乗船お断り


小屋の玄関へ続く軋む階段を昇り、錆び付いたノッカーを叩く。
扉が呻くような音を立てて開き、襤褸布と毛玉の塊が出迎えた。
「………酷い臭いだ!」
ペイドが毛玉の放つ悪臭に顔を顰める。
毛玉が掻き分けられ、老婆の顔が現れた。
「何の用ですじゃ?」
老婆は黄色い乱杭歯を剥き出しにして愛想笑い的な表情を浮かべた。
「ジャコの紹介で来たんだが……あんたが占い師のタディアか?」
老婆は、酷く赤面した。
「儂がジャコの妹の歳に見えなさるか……フヒヒ!」
老婆は赤面しつつ身を捩って奇妙な声を出した。
羞恥に身悶えるのは自由だが、置いてけぼりで痴態を見せつけられる俺たちの身にもなって貰いたいものだ。
「儂はタディアの母親じゃ。娘に何か用ですじゃか?」
ようやく落ち着いたらしく、息を喘がせつつ老婆が尋ねてきた。
俺が答える前に、小屋の奥から若い女の声がした。
「母さん、お二人を中へお通しして。お二人が来るのが私には分かっていました」
小屋の狭い階段を昇り2階の部屋へ案内される。
天蓋越しの光に満たされた部屋には、古書や地図が無造作に積み上げられている。
天蓋には青銅の望遠鏡が据え付けられ、その下には精緻な象嵌が施された骨製の円卓が置かれている。
円卓の主は、まだ若い女性だった。
絹めいた滑らかな金髪の垂れかかる蒼白い額に、神秘文字の刻まれた額冠を着けている。


「私が予言者タディアです。そして貴方はローン・ウルフ。太陽の王国の戦士にして伝説の英雄」
突如、後方のペイドから殺気が放たれた。
慌てて動き、抜き打ちの斬撃が放たれる寸前でバケロスの腕を抑える。
「…………この女は敵じゃあない。察しろよ弱凡」
「疑わしきは取り敢えず殺す」
――お前は通り魔か。
怒鳴りつけたい思いを堪え、ペイドを諭す(主に関節技で)。
渋々といった表情で構えを解くペイドを横目に、タディアに話を続けるよう促す。


「私たちは危険な時代を生きています。貴方の仇敵は私たちの敵でもあるのです」
「協力しよう、という事か……」
「彼らは私たちの国を征服しようと態勢を整えていますが、私たちの力は弱く、彼らに対抗できないでしょう」
「…………続けてくれ」
「私は貴方の目的を知っていますし、暗黒の戦士達を倒すのを出来る限りお助けします」
タディアは両手を高く掲げ、天蓋を指した。
手と手の間を光の渦が流れ、白く輝く球体が現れた。
タディアは眩い光を放つ球体を瞬き一つせずに凝視している――この瞬間にも、幾千幾万の運命の分岐を垣間見ているのだ。
「モードリルの森を通っていけば、最も安全にダナーグに着けるでしょう」
やがて、タディアが重々しく言った。
「シアダへの道は危険です。戦いと死だけが貴方がたを待ち受けています」
光球はちらちらと揺れ、消えた。
タディアが再び俺へと視線を戻す。
「ローン・ウルフ、探索の旅に遅れは許されません。私たちの未来は、貴方に懸かっているのです」
「モードリルの森か……」
「出立する前に役に立つ品物を好きなだけ選んでいって下さい」
「ロハで?」
「ロハで」



アレサーの薬 1回の戦闘に限り、戦闘力点が2点高くなる
ラウンスパーの薬 体力点を4点取り戻す(1回分)
幅広剣
六尺棒
レンダリムの万能薬 体力点を6点取り戻す(1回分)
オキシデン・チンキ 体力点を2点取り戻す(1回分)


ゴゴゴ……


ゴゴゴゴゴゴ…………


ブゴゴゴゴゴゴ………………


カイ戦士に野生を縛る理性はいらねー!
お前が人生最後に見るSEXYはこの俺だッ!!
フオオオオオオォォォォォォォォ!!!
クロス・アウッッ!!!!!(脱衣)


「………………………」
カイ戦士お馴染みの荒行を初めて目の当たりにしたペイドが絶句していた。
所詮闘争の本質を知らぬシャバ僧には無理からぬ事だ。
マグナカイの瞬間脱衣術(ハニーフラッシュ)――その瞬間最大風速は某対戦型セクシーゲームブックを遥かに凌ぐ。
ある意味ミスターアンチェインとまで呼ばれた俺ですら、シンクロ内閣支持率400%を超えて初めて使いこなせる無双奥義なのだ。


そういう訳で幅広剣と六尺棒以外全部を有り難く頂く事にする。
「お…おお……お礼と言っては何だが……この食糧2食分 を遠慮無く喰ってくれ……フヒヒ!」
俺なりに食糧問題を解決するべく、恭しくタディアと老婆に差し出す。
キメる前からキュンポっぽい喋りになった俺を見やり、タディアは平然と答えた。
「貴方がヤバめのハッパの代わりに余分な食糧を差し出す事が私には分かっていました」


「……お前気配りの達人だな」
ペイドはもう限界だと思ったらしかった。



通過パラグラフ:(55)→130→329→42→89 治癒術の効果:+4点   現在の体力点:27点

(つづく)