ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

ヘルガスト、憎悪の化身

【パラグラフ113→→→30:僧院の悪鬼:(死亡・11)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。


「ガジ・アキ・アマズ!(死ね、狼!)」
司祭は黒いフードをはね除け、ジャーク語で憤怒と憎悪に満ちた叫びを発した。
予期していた通り、この司祭は俺とペイドの探索の旅に先んじてタレストリアに潜んでいた、ダークロードの尖兵なのだ。
だが、そこから先は流石の俺とても予想していなかった――


顔面の肉が捩れ歪み、張り詰めた皮膚が急激に黒変する。
落ち窪んだ左右の頬から肉が腐り落ち、露わになった下顎に花綱のように垂れ下がった。
肉食獣めいた下顎からは曲がった牙が突き出し、蛇の黒く裂けた舌がちらついていた。
眼前の存在が遂に恐ろしい正体を現した。
ダークロードが創造した最も忌まわしき悪夢。
いかなる人間にも擬態でき、定命者の武器が通用しない下僕――ヘルガストだ。
不死者の赤熱した石炭のような眼が光り、殺戮の歓喜に金属を引っ掻くような耳障りな声で叫んだ。
口蓋の構造が有り得ないほど変化し、もはや言葉を紡ぐことすら出来ないのだ。
黒衣の怪物が短剣のような鉤爪を振り上げる――膂力に任せ、一薙ぎで俺の首をもぎ取れる間合いだ。


黄金の焔が虚空に眩い軌跡を描く。
ヘルガストが一瞬前までいた空間を、俺の斬撃が灼き焦がしていた。
後方に驚くべき敏捷さで跳び退いた怪物だが、その爬虫類じみた紅い眼には紛れもない恐怖が浮かんでいる。
俺が手にしている太陽の剣の力――黒神の被造物を破滅させる力、地上の邪悪を灼き尽くす力を認めたのだ。
ゆるゆると剣を構え直し、暫し間合いの外から睨み合う。
だがそれも束の間、生命への呪詛とともに、漆黒の大蜥蜴めいた異形が眼前に迫ってきた。



ナーグのヘルガスト 戦闘力点34 体力点48


ヘルガストに念撃は通用しない(念波動は通用する)。
念バリアを身につけていなければ、毎ターン、戦闘のはじめに 戦 闘 力 点 を
2 点 引かねばならない。
精神の伝授のサークルを身につけていれば、戦闘の間、戦闘力点が2点高くなる。


恐るべき数値に瞠目する。
純然たる戦闘力もさりながら、真の驚異は強力な精神攻撃だった――
この敵は、毎ターン戦闘力を2点づつ削りにくる のだ!
ソマースウォード の戦闘ボーナス10点を加算して、戦闘比−4の不利。
仮にマグナカイの念バリアがなければ、3ターン目には戦闘比−10まで落ち込んでしまうのだ。
そうなれば、為す術もなく鉤爪で引き裂かれていたことだろう。
この最強の狼に相応しい……
ローン・ウルフの冒険史上最高能力値を誇る、極めつけの危険な敵が……
最凶最悪の不死者が、爛々と輝く瞳で俺を睨め付けていた。



通過パラグラフ:(113)→30(戦闘)  治癒術の効果:0   現在の体力点:32点

(つづく)