ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ290→→→105:黄金回廊の惨劇:(死亡・11)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



独房群の回廊を抜けると、ザーダの看守たちの怒号が後方から耳に響いた。 
前方の下り階段は、斧で武装した獣人兵士が見張っている。
こいつを速やかに始末し移動しなければならない――強制戦闘だ。



ザーダの看守 戦闘力点17 体力点22
新たに加わった仲間とともに攻撃できるので、今回の戦闘の間、敵の失う体力点は2倍になる。


素手のハンデを差し引いても戦闘力は18点、治癒術のお陰で体力も23点にまで回復している。
乱数表は「9」。
突然独房群の暗闇から出現した男を斧で威嚇し、誰何の声を上げようとしたその時――
死角から忍び寄った俺の両腕が蛇のように巻き付き、一瞬で絶息させた。
男は熊と豚の奇妙な混血めいた獣人の死体を手慣れた様子で仰向けにし、短剣とナイフを引き抜いた。
俺も無言でともう一本のナイフ を手にする。


階段の下の通廊には贅を凝らしたタペストリーや黄金の彫刻が両壁に整然と並び、突き当たりに輝く青銅の扉がある。
恐らくザーダの玉座の間へと通じる扉だろう。
銀メッキを施した大理石の凝った装飾の噴水からは絶え間なく清水が流れ落ち、古風な旋律を奏でていた。
だが、6メートルも行かないうちに、噴水の後ろから武装した獣人兵士が現れた。
兵士が構えた石弓が狙いをつけているのは――俺じゃあない!
「伏せろッ!」
新たな仲間に警告を発するとともに矢を叩き落とそうと必死に腕を伸ばす――が、既に遅すぎた。
矢は風切り音とともに俺の指先を掠め、彼の胴体に深々と刺さった――あの位置は致命傷だ。
無音で地を蹴って間合いを詰める俺を見て、警備兵は必死に革の矢筒を探っているが、再装填の暇など与える心算はない。
憤怒の形相で、兵士の震える手から石弓を叩き落とす――



玉座の広間の警備兵 戦闘力点14 体力点22


乱数表は「8」――「8」!
斧の刃が獣人の頑丈な猪首に喰い込み、分厚い毛皮を裂き、脂肪層まで達したが、そこで止まった。
だが、無機質なガラス玉のような眼が更に驚愕に見開かれる。
俺のナイフが片脚の甲に深々と刺さり、床石の隙間に縫いつけているのだ。
狼の咆哮とともに世界が一回転し、轟音が響き渡った。
斧の柄を支点に体を反転させて獣人の頸を両脚で挟み込み、巨大な鉄鎚と化して床に叩き付ける――地獄の断頭台だ。
いかな獣人の硬い頭蓋骨であろうと、雷のごとき速度で全体重を叩き付けられては陥没を免れ得ない。頸骨もまた然り。
何処かへ転がっていった獣人の首の行方も見ずに、瀕死の仲間に駆け寄る。


(つづく)