ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ39→→→6:不可視の死線:(死亡・11)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



マグナカイの念バリアが周囲に張り巡らされた魔術の痕跡を感じ取る。
巧妙な幻覚、或いは姿を隠す隠形の術のようだが、してみると、背後の深淵には確かに橋があるのだ。
端に屈み込み、手探りで橋の感触を探すが、その時、背後から足音がした。
重い足音は徐々に近づいてくるが、その主の姿は見えない。
乱数表を指す――「4」だ。
焦って空を探す指先に何かが触れる。
幅の狭い薄板――橋桁だ。


突如、足音が止んだ。
鞭のしなる鋭い音とともに、手の甲を衝撃が襲った(2点のダメージ)。
不可視の敵と戦うか、不可視の橋に踏み出すか――成る程面白い趣向だが、俺の選択は言うまでもあるまいよ!
再び空気を切り裂く音。
今度は踏み出した俺の腿に鞭が叩きつけられた(2点のダメージ)。
泡の牢獄で受けたダメージも完全に治癒した訳じゃあない。
これで通算7点のダメージだ。
カイ・マスターの野獣並の知覚を総動員し、敵の居場所を見つけ出そうとするが、隠形の術は五感にも及ぶらしい。
マグナカイの上級狩猟術を身につけていなければ、戦闘の間、戦闘力-2のペナルティがある。
毛布 赤い長衣 があれば、腕に巻き付けて鞭の攻撃を防御できるようだが…。
咆哮とともに常人には視認し得ない速度で跳躍し、マグナカイの念波動を刃から解き放つ――



見えない鞭使い 戦闘力点24 体力点26


4ターン目の跳躍から致命的な一撃を叩き込むと、不可視の敵は苦悶の叫びを上げ、俺の足元に倒れ臥した。
残り体力点は9点。
鞭の音が聞こえた時には攻撃されている――ゆえに勘で攻撃のタイミングを合わせ、最初から相討ちのみを狙ったのだ。
更に、不可視のペナルティを相殺する為とはいえ、念波動の連続使用による反動が心身を容赦無く痛めつけている。
勿論最初から勝算はあった――この通り襤褸雑巾になることも織り込み済みだった訳だが。


鞭使いの死体がその姿を現しつつあった。
一見すると人間に似ているが、よく観察すれば相違は明らかだ。
生気を失った眼は猫科の獣を思わせるし、短い指には鉤爪があり、下顎は少なくとも10センチは突き出ていた。
全身の皮膚は傷痕に覆われているが、戦闘によるものではなく、何らかの残酷な手術痕だと推測された。
俺を攻撃した鞭は何処にも見当たらないが、肩紐に下がった槍と、銀の笛 が血に汚れた首に鎖でかかっていた。
何気なく笛を吹いてみるが……音がしない……?
兎も角、カイ・マントの隠しに納めて(「アクション・チャート」に記入)振り返り、青い金属の橋を警戒しつつ踏み締めて渡る。


(つづく)