ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ270→→→182:水牢:(死亡・11)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



ザカーンの像から流れ出す奔流が、部屋を水浸しにしていく。
トンネルは――
水を蹴って駆け込むが、既に堅固な石壁が出現し、行く手が塞がれていた。
腰まで水に浸かりながら卵型の扉の前まで戻り、鍵の構造を調べるが、覆いのプレートの他は何も見えない。
虚しく焦燥に駆られつつも、水は顎まで達し、鍵も完全に水没した。
マグナカイのネクサスさえ修得していれば、その微細念動力によって鍵の内部構造がどれ程複雑だろうと解錠できるのだが……。


水位は既に爪先立ちすらも難しくなっていた。
新鮮な空気を求めて浮かび上がった天井近くには、霧が不気味にたゆたっている。
指先が霧に触れるや否や、霧を透かした彼方の深淵から蒼い閃光が放たれた。
閃光が直撃した腕を伝導して激しい衝撃が奔り、再び水中へと叩き込まれる。
体力点に4点のダメージ――例によって致命的なダメージでこそないが、それだけに犠牲者を弄ぶ悪意を感じる。



青い錠剤入りの薬瓶を持っていれば、230へ。
青い錠剤入りの薬瓶を持っていなければ、263へ。


タビグの持っていたサビトの木の根の錠剤。
未だ痙攣する手で瓶を開け、一瞬だけ浮上すると同時に飲み込んだ薬が効果を発揮するのを待つ。
押し潰されるような肺の痛みが失せ、同時に全身の緊張が解ける。
水中の酸素が、皮膚を通して吸収されているのだ。


ひとまず先延ばしにしたものの、この水の牢獄から脱出しない限り溺死の運命が待っているのには変わりない。
再び床すれすれまで潜水し、選択肢を検討する。



鍵のかかった扉を開けるか。66へ。
像を調べるか。168へ。


どちらの選択肢も力技なのが引っ掛かる。
何らかの罠が潜んでいるのを、歴戦のゲームブッカーの勘が感じ取っているのだ。
勿論本来であれば、ザカーンの難題を解き、罠が発動する前にこの部屋を出るべきであるのは言うまでもない。
次善の選択肢としては、この部屋に来るまでに扉の鍵を入手しておくという事になるだろう。
マグナカイのネクサスを運良く修得していれば、同様にこの罠は意味を成さない。
この時点で俺は第4の策、サビトの根の錠剤を服用した――アイテムを活用する場面を与えたように見せかけ、俺が力技を使わざるを得ないよう誘導されたのだ。
………ならば。


「秘 奥 義・ パ ラ グ ラ フ 逆 行!!」


見落としている筈の『分岐』を求め、時間を巻き戻す――


(つづく)